研究課題
人間の知識の基礎的な役割を担う「概念」は、従来の認知科学、特に計算モデルを用いた理論研究では、静的な性質を持つとして扱われてきたが、本研究では、概念の典型性、階層性、文脈効果に関して概念は流動的であることを指摘した。社会にある知識がどのように推移していくのか計算機シミュレーションを用いて検討した。具体的には、文化人類学の先行研究から、パプアニューギニアで原始的な生活を営む集落では 、バナナの作付けの際、どの種類のバナナを作付けするかはおおよそ無作為に行われていることが示されている。本研究では、無作為に選択するモデル、集落内での知識をもとに生産量を最大化するモデル、集落間で知識を共有して生産量を最大化するモデルを比較した。その結果、生産性を高めるといった最適化を行う場合に比べ無作為に作付け種を決定する方が、バナナの種の多様性の維持に適切であり、多様性の維持によって集落全体の存続が導かれることが示された。知識の適用・応用に関して、意思決定課題を用いた行動実験及び計算機シミュレーションで検討した。意思決定を行う場合、知識にないことや系統立てて間違って認識していることは、実はヒューリスティック方法で意思決定を行う場合は妥当な推論を導くことを示した。
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Cognitive Science
巻: 未定(採録決定) ページ: 未定(採録決定)
Proceedings of the 38th Annual Conference of the Cognitive Science Society
人工知能
巻: 31 ページ: 67 73