研究概要 |
本研究は、これまで申請者が進めてきた、脳波による情報理解の「あいまいさ」に関する研究をさらに発展させ、定常状態視覚誘発電位を利用して、認知状態推移をとらえることを目的とする。今年度は、定常状態視覚誘発電位(Steady state visually evoked potential:SSVEP)を利用して、認知状態推移をとらえる研究を行った。先行研究によって、親しみのある画像と親しみのない画像を提示したときの SSVEP の振幅は差があること (Kaspar et al, 2010)からも、SSVEPにより隠し絵における「ひらめき」がとらえられると考えられる。実験は、隠し絵とその本来のモノクロ画像を実験手順に従って刺激提示周波数(7.5Hz, 12Hz)で提示を行った。被験者は、提示された刺激に対して、応答時間内にわかったかどうかを応答する。解析としては、グレイ画像を見た時の、「分からない」から「分かる」と最初から分かっている、つまり「分かる」―「分かる」と応答した場合のSSVEPを比較することにより、認知状態の遷移がSSVEPの振幅の差に現れるかどうかを調べた。隠し絵を見ている時の提示周波数の振幅を被験者の反応により比較してみると、7.5Hz帯では「分からない」方が高く、12Hz帯では「分かる」方が高くなる傾向が見られた。これらは、Kasperら(2010)の結果と矛盾しなかった。
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