研究課題/領域番号 |
25330169
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
南 哲人 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 准教授 (70415842)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳波 / SSVEP / 認知状態 / 隠し絵 / 知覚闘争 / ネッカーキューブ |
研究実績の概要 |
知覚闘争中の神経処理の理解は神経科学において重要なテーマのひとつである。本研究では、曖昧性画像であるネッカーキューブを用いて、 知覚闘争中の神経ダイナミクスを調査した。具体的には、ネッカーキューブを用いて、ヒトの知覚が2つの図形の間で自発的に切り替わる瞬間の活動を脳波から調査した。自発的な知覚変化は本来、それがいつ発生するか予測することが困難である。しかし、本研究は、新たに提案した刺激呈示方法を用いて、従来の研究(Kornmeier2004など)より正確な活動時間を特定したことが特徴的である。そして、自発的な知覚の変化(Ambiguous)と単なる図形の変化(Control)の瞬間の脳活動を比較した。実験の結果、自発的な知覚変化は、知覚変化後すぐ、右後頭部においてベータ帯(12-20Hzの周波数活動)が活性化した。一方、単なる図形の変化ではベータ帯の活性化は見られなかった。
さらに、曖昧性画像であるネッカーキューブが複数個組み合わされたネッカーラティスを用いて、 知覚闘争中の神経ダイナミクスを調査した。知覚闘争中の神経活動を調査するため、定常状態視覚誘発電位 (SSVEP)と呼ばれる脳活動および手続きを利用した。知覚交代前の-3~-0.5秒の闘争条件およびコントロール条件の活動を比較したところ、広範囲の前頭および後頭領域において有意差が認められた。前頭および後頭領域の知覚交代への関与はfMRIを使用した研究において報告されており、前頭と後頭の間で情報の交換を行うネットワークが形成されている可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、SSVEPによる知覚闘争の実験を行い、闘争条件およびコントロール条件を比較することにより、認知状態の遷移がSSVEPの振幅の差を調べることができた。よって、順調に研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、隠し絵についてはモーフィング画像などを用いて、より詳細に、隠し絵知覚の認知状態推移を調べると共に、知覚闘争現象もapparent motionなど動的なものに広げていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
刺激呈示方法を共同利用などの対応をしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、実用的な研究に向けて、モバイル脳波計などを導入する予定である。
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