研究課題/領域番号 |
25330172
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
松浦 博 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (60451085)
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研究分担者 |
秀島 雅之 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (50218723)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 音声セグメント / 疲労 / 発話 / 無酸素運動 / LF/HF / 心拍変動解析 / フリッカー値 / 唾液アミラーゼ |
研究実績の概要 |
ユーザの負担が少なく、常用可能な疲労推定法として音声による推定法を検討するため、疲労の原因(ストレッサ)となる無酸素運動、有酸素運動等による音声の変化について調査した。ストレッサ付加前後での発話音声を録音するとともに、自覚症しらべ(5群)、心拍変動解析のLF/HF、フリッカー値、唾液アミラーゼ活性も同時に測定し疲労度指標とした。疲労度指標間の相関分析を行ったところ、ストレッサが四則演算の場合のLF/HFと唾液アミラーゼ間の0.66以外は自覚症しらべの群間の一部を除けば大きな相関は見られなかった。次に、基本周波数、継続時間長、音声セグメントラベルAA,OO等をパラメータとして各疲労度指標との相関分析を行った。LF/HFとの相関係数が、「あー」のAAでは無酸素運動の場合に-0.88などの結果が得られた。また、LF/HFを予測する重回帰分析の変数選択を行ったところ、「あー」のAAおよび「スタート」のF0等の5パラメータが選択(修正決定係数R2=0.33)された。次に、ストレッサを四則演算と無酸素運動に絞って、同様の変数選択を行ったところ「あー」のA*および*A(AAを除く)と「スタート」のF0等の 5パラメータが選択(修正決定係数R2=0.89)された。以上から、音声セグメントラベル、母音領域、F0等が心拍変動解析の代替手段になる可能性を示した。LF/HFの予測値と実測値との相関係数を求めたところ四則演算で0.98、無酸素運動で0.90、全体では0.96と極めて高かった。したがって、音声セグメントやF0など特定の音声パラメータの組み合わせは心拍変動解析の代替手段になる可能性が示唆された。一方、疲労の推定法の実現については、さらに多様な方面からの検討が必要と考えられ、今後の課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は期間延長を申請し承認されている。理由としたのは論文投稿と音声分析システムの評価であった。論文については電子情報通信学会に「疲労が音声へもたらす影響の音声セグメントを用いた推定」として平成27年度中に投稿し、判定日:2016年05月11日で採録通知を受けている。また、音声分析システムについては平成28年2月末に納入を受けて評価を継続しているが、最終段階に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
評価単語を従来の「あー」「おー」「スタート」に加えて「おはよう」「疲労度推定」についても実施する。また、相関分析や重回帰分析に加えて、因子分析による統計解析も進め、疲労と発話の関係をさらに解明する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会論文投稿中であった事と音声分析システムの開発が2月末完成であり、その後の評価と若干の改良を要すると予測されるため
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次年度使用額の使用計画 |
論文掲載料として25万円、音声分析システムの改良費用として30万円程度を使用予定とする。
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