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2014 年度 実施状況報告書

能動的センシングシステムとしての探索的身体運動の組織化過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25330178
研究機関神戸大学

研究代表者

野中 哲士  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20520133)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードハプティクス / アクティブタッチ / 探索 / 自己組織化 / アフォーダンス / センシング / 異常拡散 / 道具使用
研究実績の概要

能動的なセンシングシステムとしての生物の知覚システムについて、アザラシのヒゲによる水力覚や、コウモリのソナーシステムなど、近年新たな知見が得られつつある。本研究では、人のハプティック知覚システム、視覚システムについて、探索運動のゆらぎの拡散のダイナミクスという側面から検討している。前年から継続して行っているハンマーによるタッピングを通して素材の性質をさぐるビーズ職人の道具使用技能におけるハプティック知覚の研究では、次のことが明らかになった。(一)一流のビーズ職人たちは、未知の素材(ガラス)でもあつかうことができた。そして、手にした道具の状態や、道具を介して触れる素材について探っている職人たちの手の動きには、全体として、さっと変化に富んだ動きが生まれる(単位時間あたりの移動距離の変動が速く拡がる)独特の時間構造が見られた。(二)探索運動に見られた、時間にともなう動きの拡がり方そのものもまた一定ではなく、その時々で伸び縮みするやわらかさがあった。そして、そのやわらかさは異なるスケールの動きのあいだの非線形的な影響関係に由来するものであることが確認された。(三)未知の素材に直面したとき、うまく扱えなかったグループの職人たちの手の動きからは、(一)、(二)の特徴が失われるような傾向が見られた。道具使用技能については、一部の研究が国際学術雑誌PloS Oneに掲載された。視覚システムの研究としては、本年度視線計測ソフトウェア、ウェラブルカメラを導入し、視覚システムの研究としては、熟練ピアニストによる譜読みの視線運動の拡散構造をとらえる予備実験を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年に引き続き、熟練道具使用技能の事例を検討する論文が国際学術雑誌PloS Oneに掲載され、成果の一部が公表されている。本年度はさらに視覚システムの研究として、視線計測ソフトウェア、ウェラブルカメラを導入し、熟練ピアニストによる譜読みの視線運動の拡散構造をとらえる予備実験を開始した。

今後の研究の推進方策

能動的なセンシングシステムとして、アクティブタッチと視線運動におなじようなゆらぎの拡散ダイナミクスが見られるかどうかを検討する。そのことを通して、能動的探索運動における拡散過程のダイナミクスが未知の情報空間を探索する人の知覚活動に果たす役割の一般性について検討し、知覚情報を獲得する能動的なセンシングシステムの動的組織の理解を模索する.

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] The utility of a care model to individualize rehabilitation in adults aged over 80 years2015

    • 著者名/発表者名
      Hiragami, F., Nonaka, T., Saitoh, K., & Suzuki, Y
    • 雑誌名

      Topics in Stroke Rehabilitation

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1179/1074935714Z.0000000029

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fractal Dynamics in Dexterous Tool Use: The Case of Hammering Behavior of Bead Craftsmen2014

    • 著者名/発表者名
      Nonaka, T., & Bril, B
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance

      巻: 40(1) ページ: 218-231

    • DOI

      10.1037/a0033277

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Movement Pattern Variability in Stone Knapping: Implications for the Development of Percussive Traditions2014

    • 著者名/発表者名
      Rein, R., Nonaka, T., & Bril, B
    • 雑誌名

      PloS One

      巻: 9(11) ページ: e113567

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0113567

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] One month of contemporary dance modulates fractal posture in aging2014

    • 著者名/発表者名
      Coubard, O. A., Ferrufino, L., Nonaka, T., Zelada, O., Bril, B., & Dietrich, G
    • 雑誌名

      Frontiers in Aging Neuroscience

      巻: 6:17 ページ: 6:17

    • DOI

      10.3389/fnagi.2014.00017

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Ecological Approach to Visual Perception執筆の舞台裏 : William M. Mace氏インタビュー (小特集 ギブソン没後35周年(2014年)記念)2014

    • 著者名/発表者名
      野中哲士
    • 雑誌名

      生態心理学研究

      巻: 7(1) ページ: 13-17

  • [学会発表] 損傷を負った神経系の再編に向けた生物規範デバイス:自然から学びうること2015

    • 著者名/発表者名
      Eugene C. Goldfield (司会・通訳 野中哲士)
    • 学会等名
      日本発達心理学会第26回大会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2015-03-21 – 2015-03-21
    • 招待講演
  • [学会発表] Ecology of skills: The case of skills to control conchoidal fracture by means of direct hard-hammer percussion2014

    • 著者名/発表者名
      Tetsushi Nonaka
    • 学会等名
      Theoretical Archaeology Group Conference
    • 発表場所
      University of Manchester, イギリス
    • 年月日
      2014-12-17 – 2014-12-17
  • [学会発表] 情報の媒質としての身体2014

    • 著者名/発表者名
      野中哲士
    • 学会等名
      日本生態心理学会第5回大会
    • 発表場所
      豊橋技術科学大学
    • 年月日
      2014-07-13 – 2014-07-13
  • [図書] 具体の知能2015

    • 著者名/発表者名
      野中哲士
    • 総ページ数
      223
    • 出版者
      金子書房
  • [備考] Research Map

    • URL

      http://researchmap.jp/t_nonaka

  • [備考] Tetsushi Nonaka

    • URL

      http://www2.kobe-u.ac.jp/~tnonaka/

  • [備考] 神戸大学研究者紹介システム

    • URL

      http://kuid.ofc.kobe-u.ac.jp/InfoSearch/html/researcher/researcher_f0epR-XnXY3O-IBQ3mbe3w_ja.html?q=%E9%87%8E%E4%B8%AD&backtoResultPath=View.do

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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