研究実績の概要 |
能動的なセンシングシステムとしての探索的身体運動の組織化のプロセスについて理解するために,能動的触知覚運動および視覚的探索運動の解析を行った。また、知覚的探索活動について、コーネル大学のCarl A. Kroch図書館において、知覚心理学者James J. Gibsonの遺稿の調査を行うとともに、2015年7月にミネソタ大学で行われたInternational Conference on Perception and Action(知覚と行為の国際会議)に参加した。近年,様々なスケールの動きが干渉しあって生じる筋―骨格―軟部結合組織系の張力場における力学的情報が,力覚や多自由度系の自律的組織化に寄与することが示されているが、これらの新しい知見について、著書『具体の知能』(金子書房、2016年刊行予定)にまとめた。同著では、本研究課題で行った、触知覚運動が重要な役割を果たす道具使用についての一連の研究も紹介した。また、知覚心理学者ギブソンの理論について論じる共著書『身体とアフォーダンス―ギブソン『生態学的知覚システム』から読み解く』の執筆を行った(金子書房、2016年刊行予定)。視覚的探索技能については、一名のピアノ演奏者の読譜視線の共同研究を行った。同研究では、練習のプロセスを通じて視線の予期性や頭部の運動パターンに顕著な変化が見られることを明らかにし、日本認知科学会にてその成果を報告した(長井・野中, 2015)。
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