我々の脳は見ただけで容易にものの材質を認識できる。本研究では、脳の優れた材質認識のメカニズムの理解、及びそのメカニズムを模擬する情報処理モデルの構築を目指し、心理計測、脳活動計測、及び画像特徴解析を行った。その結果、(1) サルの腹側高次視覚野がものの材質の視覚的・触覚的特性を表現している (2) その神経表現は、単純な視触覚経験を通して、視覚特徴と手触り等との関係を学習することにより形成される (3) 深層畳み込みニューラルネットワークの情報表現がものの材質特性をよく反映しうる、ことなどが明らかになった。これらの成果は、脳における材質情報の計算過程の理解を大きく進展させるものである。
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