研究実績の概要 |
近年,教育分野における情報通信技術の利活用が推進され,様々な情報通信技術が教育現場で使われるようになってきている.特に映像提示装置は,計算機の操作画面としてだけではなく,映像コンテンツの表示にも不可欠である.しかしながら,一般の映像提示装置は基本的にRGBの三原色であり,我々が見ている色彩と必ずしも一致しない.また,立体提示によるリアルな情報提示も教育に重要な要素となると考えられる.そこで,本研究では,多原色表示により現実世界の色彩情報に近い映像を提示でき,かつ立体視が可能な教育現場において簡便に利用できる多元色立体提示システムを開発することを目的とし,(1)色再現域を広げるための多原色フィルタの設計,(2)2台のプロジェクタの同期提示による色再現,立体表示への影響の評価,(3)ステレオ分光画像および仮想物体の実時間表示のための処理方法の検討,の3点を重点に研究を行った.最終年度である平成 27年度は,構築したシステムを用いて性能評価を行い,色再現の精度向上及び立体表示の実現を行った. 前年度において,構築したシステムで実際に色域が広がることが証明された一方で,本来の表示したい色とズレが生じていることが評価結果からわかった.そのため,分光画像からフィルタを取り付けた2台のプロジェクタへの入力データへの変換方法の再検討を行い,色再現性を高めることができた. また,分光画像から2台のプロジェクタへの立体分光画像の入力データの形式について検討を行い,CG画像において立体表示ができることを確認した.これにより,分光画像を入力とする高い色再現性を持つ6元色立体提示システムを開発することができた.
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