研究課題
本研究は、計算機上で発話の過程を模擬する生理学的発話機構モデルを基に、脳イメージングや筋電図および磁気センサーシステムなどによる神経生理学的知見を加えて、音声生成過程における発話計画、運動指令、筋肉の収縮、発話器官の動作、音波伝播、音波の生成とその聴覚フィードバックなどのモジュールを含む発話運動制御モデルを構築し、発話運動制御メカニズムを明らかにすることを目的とする。平成27年度では、我々は脳電図(EEG)信号に基にしたソース再構築方法を用いて音声を知覚する時脳内における音声信号処理の流れを調査することにより、ミラーニューロンによる音声生成と音声知覚との相互作用を考察した。さらに動詞と名詞を知覚する際、同様なソース再構築手法により、知覚処理と語意認知過程を調べた。その結果、知覚処理と語意認知過程は大体初期処理、中期処理と高等処理の三つのフェイズを分けることができる。フェイズ毎に脳の活動がよく似ていることが分かった。それは、音声の語意の認知は初期処理における50msの時点から始まっていることを示唆した。音声発声時に音響フィードバック以外の通路が存在するかについて、皮膚や神経の伝達通路を調べたところ、発声の基本周波数の制御に対して、声帯振動の触覚求心性情報によるフィードバックは音響のそれより遅延が短いことが分かった。また発話計画に用いる単位について研究を行った。中国語とフランス語の母音ー子音ー母音(V1CV2)を用いて発話運動の調音結合の影響範囲を調べた。その結果、CV2の境界内部では、二つの言語とも強い調音結合は見られた。それに対して、CV2の境界を超えた場合、先読みの調音結合はフランス語の発話運動にはよくみられるが、中国語の発話運動にはあまり見られていない。これらの現象は、中国語の発話制御には、音節が発話計画の基本単位として使われることを示唆した。
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