研究課題/領域番号 |
25330193
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
荒木 雅弘 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (50252490)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 音声対話システム / 対話記述言語 / 論理型言語 / 関数型言語 / セマンティックweb / 機械学習 |
研究実績の概要 |
音声対話システムは様々な要素技術が絡み合った複雑なシステムであり、その効率的な開発・拡張・保守には近年のソフトウェア工学の知見を活用した開発方法論が必要である。本研究では、音声対話システム開発のパラダイムシフトを目的として、CSRs(Collaboratively constructed Semantic Resources)と呼ばれる意味情報が付加された大量のセマンティックデータを対象とした論理的推論と、言語理解結果を関数とみなす関数型記述を組み合わせることによる音声対話システム開発方法論を確立することを目指す。今年度は、セマンティックデータと論理的推論を用いた音声対話システムの開発方法論の研究に重点を置いた。
これまで我々は、データモデル定義に基づくオブジェクト指向的なMMI(音声を含むマルチモーダル)記述言語MrailsScriptの設計と実装を行ってきた。この言語を用いたデータモデル定義作業において、対話システム開発者に対して、高いレベルでのセマンティックweb技術の知識を要求するという問題点があった。この問題を解決するため、我々は、オントロジーの知識に基づいた開発作業を支援するためにMMIシステム開発環境MrailsBuilderを構築した。MrailsBuilderは、オントロジーの構造を可視化することで、データ定義作業を容易にする。また、定義されたデータモデルからLinked Open Dataを自動的に取得するSPARQLを自動的に作成し、さらに別途定義された推論規則と組み合わせることによって、対話システムで提供するコンテンツを幅広い情報源から自動取得する機能を持つ。この開発環境を用いて特定タスクのMMIシステムを作成し、開発プロセスにおけるこれらの機能の有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までの研究で、関数型記述による言語理解結果の表現に関しては、関数の適用対象とする対話モデルの検討を行い、欧米の複数の研究機関で採用されている情報状態更新モデルを採用することを決めた。そのモデルに対して、音声対話システムのタスクの中で最も基本的なスロットフィリング型対話タスクを具体的に設定し、関数表現によって、言語理解結果の意味記述を行うことが可能であることを示した。また今年度の研究で、論理型言語によって記述された推論規則から、コンテンツの取得が行えることが示せた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、関数型記述と論理型記述が独立した役割で音声対話システム開発を補助しており、これらの機能を組み合わせることによる有用性が示されていない。今後は、これらの機能を組み合わせることによる開発効率の向上を、従来の手続き型言語に基づく開発手法と比較できるタスクを設定し、定量的な評価を行うことを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に研究調査のため出張を予定していた学会が、地元開催の他学会の予定と重複し、出張を取りやめたため、繰越額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に学会発表のための旅費として使用する。
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