研究課題/領域番号 |
25330199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
喜安 千弥 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20234388)
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研究分担者 |
酒井 智弥 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30345003)
薗田 光太郎 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90415852)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 半教師つき分類 / リモートセンシング / マルチスペクトル画像 |
研究概要 |
本研究は,衛星画像を対象として限られた教師データから高精度のカテゴリー分類を実現しようとするものである.平成25年度は,クラスタリングに基づくマルチスペクトル画像の教師データの拡張法とその改良方法を検討した. まず画素のクラスタリングを行い,分光および時空間の特性が近い画素を抽出した.各クラスタ内のデータが同一のカテゴリーに由来するものと推定し,教師データが含まれるクラスタ内の画素を拡張教師データとして採用する.しかし,得られたクラスタの中に異なる複数のクラスの教師データが含まれている場合には,クラスタを単一のカテゴリーとして利用できないという問題がある.k-means法によるクラスタリング結果は,最初に与えた初期クラスタに大きく影響を受けることを考慮し,与えられた教師データに関して空間的な連続領域ごとの平均値を初期クラスタとして採用する方法を開発した.また,この方法をさらに改良し,与えられた教師データを用いてまず最尤法による予備的な分類(予備分類)を行い,次に分類の際の尤度が高い画素のみを選択的に抽出し,空間的に連続な領域を面積が大きい順に選択して初期クラスタとして設定する方法を開発した. AVIRISによる観測画像を対象とし,教師データを大幅に限定して9クラスの分類処理を行う実験を行った結果,改良方法を用いることによって,拡張教師データの適切性(正しい教師データが設定できた割合)が従来は約75%であったものを約80%へ改善することができた.この結果として得られた拡張教師データを分類処理に用いることにより,分類正答率が約65%から約70%へと約5%の向上を達成することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「時空間情報を考慮したマルチスペクトル画像のクラスタリングに基づく教師データの拡張」に関しては,画素のクラスタリングにおいて,空間情報を考慮したクラスタリングの改善を行い,さらに,異なるクラスの教師データが同一のクラスタに属さないように初期クラスタ配置を改善して適切な拡張教師データを抽出する手法を開発した.また,「教師データ拡張の効果の実験確認」を行い,AVIRISによる観測画像を用いて実データで効果を確認することができた.今後の研究の中で,多時期のマルチスペクトルデータ等について対象データの拡大を図っていく.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,拡張した教師データとラベルづけされていない画素を用いる半教師つきカテゴリー分類アルゴリズムについて検討し,これを衛星画像の分類に適合させてアルゴリズムを発展させる.また,半教師つき分類の手法として提案されているcluster kernelを用いたSVM 等と比較検討し,拡張した教師データと同時に用いた場合の効果を検証しながら,リモートセンシング画像を対象としたアルゴリズムの高度化を図る.
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次年度の研究費の使用計画 |
ほぼ計画通りに使用したが,購入を予定していた物品の価格変更等により1万円以下の残額が発生した. 次年度使用額は,次年度請求額の1%以下の金額であるが,消費税の上昇による物品の価格変更にも対処する必要もあることから,次年度請求額とあわせて有効に使用する.
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