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2013 年度 実施状況報告書

不可視に構造化された光による実空間、実物体ベースの情報表現とその応用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25330208
研究種目

基盤研究(C)

研究機関神奈川工科大学

研究代表者

上平 員丈  神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (50339892)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード情報ハイディング / 光情報 / 不可視情報
研究概要

本研究では、空間的輝度変調により不可視に構造化した光を物体上に投影し、その撮像画像に情報を埋め込む技術を検討する。平成25年度は下記3項目に取り組んだ。
1)光の構造化:光の投影面を多数のブロックに分割し、ブロック内空間周波数の位相の正負で1ビット情報を表現する方法を検討した。科研費「挑戦的萌芽研究」の補助を受けて実施した先の研究ではブロック内の最高周波数を用いたが、今回は最高周波数を含む複数の周波数を用いる周波数多重化法を検討した。投影パタンの不可視性を評価した結果、多重化により周波数間の干渉が生じて不可視性は低下するが、変調度5%で3周波数、変調度7%では2周波数を多重化しても不可視性を維持できることがわかった。これより埋め込み可能な情報を2~3倍に増やせることを明らかにした。
2)ロバストな情報生成法:物体表面に光の反射率が0に近い部分があると、その部分で埋め込み情報が欠落する。この対策として「ブロック分散法」を提案し、実験により評価した。本方法ではブロック内の各画素に1ビットの情報を埋め込む。0を埋め込むときは画素の輝度をそのままとし、1を埋め込むときは知覚されない程度に僅かだけ輝度を増す。ブロック内で同じ座標の画素に同じ情報を埋め込み、全ブロックについて同一座標の画素の輝度を積算すれば、1を埋め込んだ画素では変化が積算されて検出可能となる。実験結果からブロック数を5000程度とすれば1割程度の部分で情報が欠落しても100%の正確さで読み出しが可能であることを確認し、本方法の有効性を実証した。
iii)光源の仕様の明確化:上記実験では光源として使用したプロジェクタはHDクラスであり、このクラスで十分利用可能であることを確認した。
以上のほか、平成26年度に予定の周期パタンの空間周波数の奥行き依存性を利用して撮像画像中に奥行情報を埋め込む方法について前倒しで原理確認を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度に取り組むとした3つの項目について、
1)光の構造化技術を中心とした基盤技術の深化と拡幅化については、当初計画の色差を用いた光の構造化技術については未着手であるが、もう1つの周波数多重化による構造化では、ほぼ期待通りの成果を得た。
2)ロバストな情報生成法の確立については、当初、空間領域での情報欠落と周波数領域での情報欠落に対して別々の解決法を検討する予定であったが、新たに提案した手法により、両方のケースに対して対応可能であることがわかり予定以上の成果を得た。
3)光源仕様の明確化については、少なくとも実験に使用した装置の仕様で十分であることを明らかにした。
以上から、本研究は概ね計画通りに順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

平成25年度に実施できなかった色差を用いた光の構造化に取り組むほかは概ね当初の計画通りに進める。
平成26年度:実物体の肖像権、著作権保護技術および本物証明技術の確立を目指して、初年度の研究成果である基本技術について様々な被写体を用いて評価し、実用に向けた課題の抽出とその解決法を明らかにしていく。3 次元空間情報埋め込み技術については、カメラと光源を一定距離だけ離した配置で、光源から周期パタンを投影する方法を検討する。この方法では撮影画像に写る周期パタンの空間周波数は奥行きに依存して変化するので、この空間周波数を求めることで奥行情報を取得できると考えられる。平成25年度に原理確認ができたので、今後は実用性について実験により評価していく。
平成27年度:電子透かし技術で用いられている秘密鍵の概念を導入する。すなわち、空間中で1 ビット毎の情報を埋め込む場所をランダムに選び、さらに情報の順序もランダムとし、情報が存在する場所と読み出す順序を秘密鍵として情報へのアクセスが許可された者だけに知らせる方法を検討しその有効性と実用性を検証する。

次年度の研究費の使用計画

実験で光源として使用するHDクラスのプロジェクタが、予定価格より安価な価格で購入できたため。また、計画書で記載の輝度計は交付額に対して予算超過になるため購入を断念したことも次年度使用額が生じた理由の一つである。
平成25年度の実績からみて実験に予想以上の作業が必要となっているので実験補助の予算を10万円増とする。また、初年度購入予定であった輝度計を含む測定装置のレンタルに15万円程度使用する。旅費についても、出張時期が航空運賃が高くなる混雑時期となるため10万円程度増額する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Tolerance Evaluation for Defocused Images to Optical Watermarking Technique2014

    • 著者名/発表者名
      Y. Ishikawa, K. Uehira, K. Yanaka
    • 雑誌名

      IEEE/ISA Journal of Display Technology

      巻: Vol. 10, No. 2 ページ: 94-100

    • 査読あり
  • [学会発表] New technique for embedding depth information in captured images using light containing invisible high-frequency patterns2013

    • 著者名/発表者名
      H.Unno, S. Isaka, and K. Uehira
    • 学会等名
      IEEE IAS Annual Meeting 2013
    • 発表場所
      Orlando, FL USA
    • 年月日
      20131006-20131011

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公開日: 2015-05-28  

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