| 研究課題/領域番号 |
25330212
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 研究機関 | 大阪電気通信大学 |
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研究代表者 |
来海 暁 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (30312987)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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| キーワード | 時間相関イメージセンサ / BRDF / BTF / コンピュテーショナルフォトグラフィ / 光反射モデル / 画像センシング |
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| 研究概要 |
本研究の目的は，物体における光の表面反射特性（双方向テクスチャ関数，BTF）を，入射方向・受光方向に関して密に，カメラのダイナミックレンジの拡張なしに，かつ従来よりも大幅に短い時間で計測するシステムを開発することである．本研究ではこのようなシステムを時間相関イメージセンサ（CIS），2軸回転走査照明，および2軸傾斜ステージを用いて構成する．
本研究の大きな課題は2軸回転走査照明の実現にある．この照明は，球面を緯線ごとに円環で分割し，各円環にLEDを並べて構成する．CISカメラの1フレーム間に，特定の円環のLEDが1個ずつ順次点灯しつつ1周し，球面の中心位置に置かれた物体を入射方向を変えつつ平行光で照明する．
平成25年度は，照明の土台となる構造物を3次元造形装置を用いて製作する方法を考案し，現在その設計を進めている．3次元造形装置（3Dプリンタ，5軸マシニングセンタ等）は申請者の所属機関が平成25年度より導入している．この方法によりLEDの角度・位置決めが精度よくかつ高密度に実現できるようになる．またLEDには当初のハイパワー型でなく砲弾形状の高輝度型を用いることに変更した．これにより光強度は低下するものの，正確な角度・位置決めと土台への取り付けの容易さが保証される．また構造物のほか，LEDの回転走査を駆動する信号生成回路をFPGAで構築する方法を考案した．FPGAに内蔵の位相同期ループ（PLL）回路を用いることにより，各緯度の円環ごとに周波数が異なりかつCISカメラのフレーム信号に同期する信号が生成できる．
平成25年度はさらにディジタル時間相関方式のCISカメラを購入した．これは最高2,000 fpsのCMOSイメージセンサを用いており，高速カメラとしても動作する．これを用いることにより，2軸回転走査照明において個々のLEDが正確に点灯しているかを確認することができる．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の遅延の主な理由は，2軸回転走査照明の実現方法を当初の構想から変更したことによるものである．
平成25年度の半ばを過ぎた頃に申請者の所属機関において3次元造形装置が導入された．それを用いることにより，当初計画していたワイヤパイプとハイパワーLEDを用いる方法よりも照明装置が正確かつ容易に実現できる見通しを得たので，3次元造形装置の利用を決定した．一方同じ頃，照明装置の駆動信号を生成するPLL回路にFPGAを用いることができることを知った．当初計画の個別PLL素子を用いる方法より回路基盤の規模を大幅に縮小しつつ回路製作が容易になることを確認したので，FPGAの採用に至った．3次元造形装置およびFPGAについてはいずれもCADソフトウェアを用いて設計する必要があるが，申請者の研究室ではこれらのソフトウェアの利用経験がないため，その習熟に現在まで時間を要している．
また，ディジタルCISカメラに関しても遅延に多少なりとも関係する事態が生じた．納入が大幅に遅れて平成25年度の半ばを過ぎてからとなったのに加え，Windows XPのサポート終了に伴う対応にも追われた．特に後者については，デバイスドライバやSDKをXP用から64bit版Windows 7/8用に更新する必要が生じた．申請者はCISカメラをXP上で使用してきた経験を豊富に持つが，64bit版Windows 7/8における使用経験はなかった．カメラ開発の中心となった安藤繁教授（連携研究者，東大院・情報理工）に助言を請いながら更新作業を進めたが，安藤研においても64bit版Windowsへの移植経験はなく，作業が完了するまでに少なからず時間を要した．
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| 今後の研究の推進方策 |
研究が遅れ気味であるのを取り戻すため，何よりも3次元CAD，FPGA設計CADの各ソフトウェアに習熟し，それらを用いた2軸回転走査照明の土台および駆動信号生成回路の設計および製作を早急に進める．これらの製作が終わり次第，平成26年度中に土台へのLEDの取り付けおよび回路配線に着手し，購入したディジタルCISカメラなどを用いて製作した照明装置の動作を検証する．FPGAを搭載するLED駆動回路の製作については，申請者の所属機関において平成25年度に回路基板製造装置が導入され，またそのための設計用CADソフトウェアも利用できる環境にあるので，これを研究費の範囲内で賄うことができる見込みである．以上の成果は同年度中に国内の学会で発表するとともに，海外の学会や論文誌にも投稿する．
平成27年度は製作したシステムにおいて，撮影物体の姿勢変化に伴ってCISカメラ出力画像を蓄積し，物体表面のBTF（双方向テクスチャ関数）を再構成するシステムに拡張する．ディジタルCISカメラを購入したため，撮影物体の姿勢を自動的に変化させるための2軸傾斜ステージを購入することは困難である見通しとなっているが，代わりに安価な傾斜ステージを用いオフラインで動作させることを目標とする．またあわせて製作したシステムの較正技術を開発し，性能の向上を図る．
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