最終年度にはこれまでと同様映像からの性別推定の問題を引き続き検討した.昨年度までは写っている人物の方向の違いに着目して,向きの違いに適応した転移学習の検討をおこなってきたが,今年度は映像を撮影した環境の違いに着目し,未知の環境での性別推定を行うときに,すでに十分なデータがある環境での学習結果を活用する手法の検討を行った. まず,すでに保有していた500枚のデータに加えて,2つの別環境で撮影した人物データを用意した.合計3つの環境で撮影したデータあるが,屋内・屋外の違いや,照明条件の違い,カメラ設置位置の違いなどがあるため,本研究で取り扱っている異なるドメインのデータとして妥当なものと言える.このようなデータに対して,人の手で人物領域切り出しと男女のタグ付けを行って,本研究で用いるデータセットとした. その上で,ある環境(環境Aとする)で学習した識別器を使って別の環境(環境Bとする)における学習の効率化と識別の高精度化を図る手法を検討した.この手法は研究計画書に記載したアイデアを元に考案したものであり,環境Aにおいて学習したランダムフォレスト識別器のうち,環境Bにおいても有効なものを選び出し,環境Bにおいて新たに学習したものと統合して識別を行うものである.これによって例え環境Bにおいて十分な学習データ得られなくても,環境Aにおいて学習した識別器の助けを借りて高精度な識別を実現できる. 上述のデータセットを用いた実験によって,本提案手法の基本的な有効性を確認した.
|