研究課題/領域番号 |
25330222
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
遠藤 博史 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 主任研究員 (20356603)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 弾性知覚 / 触覚 / 運動感覚 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、不均一な構造を有する弾性物体に対する知覚メカニズムを明らかにすることである。しかし均一な構造の弾性体でさえも、対象に加えた力や変位の情報をどのように利用して弾性として知覚しているかについて様々な結果が報告されており、完全に明らかになっているとは言い難い。昨年度、ゴム状の均一な弾性体を用いた弾性知覚の心理物理実験を行った結果、知覚の結果に押し方が影響している可能性が見いだされた。本研究課題の最終目標は、不均一な構造に対する弾性知覚メカニズムを明らかにすることであるが、押し方が知覚に影響するのであれば、まずはそれを明らかにしておく必要がある。そこで本年度は、押し方の違いによって知覚がどのように影響を受けているかを検討した。強制2択法による硬さの弁別課題を行い、感じた差の知覚に関する検討を行った。その結果、押す力や押す回数、押し時間の長さは個人差が大きかったが、同じ被験者内では、回数や時間は弾性体の硬さが変わってもほとんど変化しなかった。さらに押し時間の長さにより2群に分けて解析した結果、両群間で差が知覚される感覚の傾向が異なり、この傾向は、押す力や回数で2群に分けた場合よりも顕著であった。さらに押し時間の長さは、硬い試料を押す力の強さにも影響していた。以上の結果から、押し方の中で押し時間の長さが知覚に影響する可能性が示唆され、今後の実験条件を設定する上で非常に重要な知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
押し方の影響が大きいという想定外の結果となり、年度内の論文発表が間に合わなかったため、やや遅れ気味であると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果より、押し方を統制した実験を行う必要があると考えられたため、この点を考慮して実験を進める。また、モータ制御で仮想的に任意の弾性特性が設定できる仮想弾性提示装置のS/N向上を行い、実験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた結果とは違った結果が得られ、論文発表も間に合わなかったことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
論文投稿と早期の実験を予定しており、適切に使用する計画である。
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