研究課題/領域番号 |
25330225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高橋 伸 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00272691)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 共同外出感 / 遠隔コミュニケーション支援 / ヘッドマウントディスプレイ |
研究概要 |
本研究のシステムは大きく分けて外出側システムと室内側システムとの2つになるが,それぞれについて設計検討を行い試作を行なった.まず,外出者側システムでは、180度撮影できる広角カメラ2台を外出者の肩に設置し、それらの映像を合成することで全周の映像を取得するようにした。そしてこの全周映像の一部を室内利用者が見られるようにして、仮想的なパンチルト操作を実現した。このように設置することで,周囲の状況を得ることができるだけでなく,外出者の横顔やジェスチャも合わせて取得することができるようになった.また,外出者にもシースルータイプのヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着させて室内利用者の顔映像などの情報を提示するようにした. 一方,室内側システムでは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)による没入空間に、外出者側から送られてきた映像を投影している.また,外出者もHMDを装着するようにしたので,室内利用者の映像を撮影するためのカメラを設置した.これにより,室内利用者の身振り手振りを外出者側に送ることができるようになった.この活用法については今後さらに検討していく. また,このシステムの利用実験を行い,外出側/室内側双方の利用者が共同外出感を感じるかどうかを調査した.その結果,広角カメラによる仮想パンチルトのおかげで従来の物理的なパンチルトよりもなめらかに向きを変えることができ,周囲を見回す機能は好評価であった.また,室内側のジェスチャーが伝達できることは,共同作業に有益である評価が得られたが,室内側の利用者がHMDをつけているため顔の表情がわかりにくく,改善が必要であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね当初の計画通りに進展しており、平成25年度の計画はほぼ達成していると言える。室内側の利用者向け表示装置はヘッドマウントディスプレイのみ実装しているが、プロジェクタを用いた表示についても準備・検討を行っていて、平成26年度から設計・実装を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画としては、まず室内側の没入型装置にプロジェクタを用いたものの検討と設計・実装を行う。複数のプロジェクタによる設計も考えられるが、より簡潔な設計として自動回転雲台にプロジェクタを載せる形で利用者が向いた方向に投影する装置で実装できないか試作を行い実験評価を行う。 また、特に外出側の装置の小型化、簡素化を検討していく。小型の全周撮影できるカメラも登場しているので、それらの利用を検討する他、スマートフォンなどの端末機能でも現在の装置における重要機能を代替できないか検討していく。暦本らの過去の映像を3次元的に重ね合わせる形でリアルタイムでは無いが全周映像を得て利用する研究も登場しているので、それらを参考にさらに簡潔な装置での全周映像の取得利用方法を検討していく。 発展的課題としては、現在の1対1型のシステムではなく、1対多、あるいは多対多のインタラクションの実現が残されている。1対1の装置での試作・実験を通して、検討は続けていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度末の3月に納品された物品の支払が平成26年度4月になったため。 平成25年度末の3月に納品された物品の支払にあてる。
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