研究課題/領域番号 |
25330231
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
田野 俊一 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 教授 (50282918)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 拡張現実 / 超音波医療画像 |
研究概要 |
平成25年度は、汎用AR機器・提示情報の高度化手法の設計を実施した。 汎用AR機器の設計では、システムのハードウエアなどの構造設計を行った。まず、被験者実験により、カメラ・HMDの解像度、画角、コントラスト、表示時間の遅れ、フレームレートに関する設計パラメータを明らかにし、最適な画像提示パラメータを持つビデオシースルー型HMDによる評価実験プロトを実現した。次に、複数の医師による実験を行い、必要とされるHMDに装着した3D位置計測のためのカメラの画角・解像度の精度、位置計測領域の大きさ等の設計パラメータを得た。さらに、CT、MRI、計算解剖モデルなどの高度医療情報をいつでもどこでも利用可能とするためにインターネットを介して利用する仕組みをベースにデータの取得・連携形態を設計した。そこで、CT、MRIのデータ量、要求されるリアルタイム性(遅延時間)を想定しキャッシュを活用した方式を設計した。 また、提示情報の高度化手法を設計した。まず、複数の医師を対象にインタビューを行い必要な医療情報を洗い出した。さらに、上記の超音波エコー画像データに基づくリアルタイム変形手法の設計を行った。CT、MRI、計算解剖学モデルが想定する位置座標系と、超音波エコー画像で診断中の患者の位置座標系を大局的にfittingし、患者の現在の状態に適した位置に、CT、MRI、計算解剖学モデルの情報を提示可能とした。次に、超音波エコー画像に撮像された臓器の特徴点とCT、MRI、計算解剖学モデルの特徴点の対応関係を解析し、超音波エコー画像の変動に応じて、CT、MRI、計算解剖学モデルを変形した。これにより、患者の呼吸、あるいは、医師の手技による臓器の変形に応じて、CT、MRI、計算解剖学モデルの表示が可能となった。 以上の平成25年度の実施事項により、平成26年度に行う実施事項の準備が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載したように、汎用AR機器・提示情報の高度化手法の設計をおおむね計画通り実施できた。平成26年度の実施事項へフェーズを進めることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、汎用AR機器・提示情報の高度化手法の実現と現場の医師による原理実証システムの評価を実施する。 汎用機器の実現では、プロトタイプシステムを実現する。前年度の設計に基づき医療機関での実験に耐える、安定性が高く、精度の高いプロトタイプシステムを実現する。 提示情報の高度化手法の実装では、ソフトウエアを実装し表示系を実現する。前年度の設計に基づき医療機関での実験に耐える、高速な処理が可能なソフトウエアを実装する。 また、現場の医師による医療画像用ファントムを用いた原理実証システムの評価を行う。上記の汎用機器の実現や提示情報の高度化手法の実装では、複数の医師による実験を実施する必要があり、すでに開発している原理実証システムと医療画像用ファントムを用いて行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、おおむね計画通り実施事項を行うことができたため、年度末の使い切りを行わなかった。 平成26年度はプロトタイプを実現する計画である。その試作機用の電子部品の調達に次年度使用額を使用する予定である。
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