研究課題/領域番号 |
25330237
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
村田 嘉利 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (80444925)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 障がい者 / 自動車操縦 / 電気自動車 / 曲げセンサ / ひずみセンサ |
研究実績の概要 |
多くの障害者が自立を望んでおり,活動範囲を広げるためには,自分で自動車を運転することが有効である.既存の障害者向け自動車操縦インタフェースはメカニカルな構造のため,障害者ごとに自動車のカスタマイズが必要となり,コストアップの主要因となっている.本研究開発では,角度センサを用いた操縦インタフェースを開発する.指や手首,足首などといった可動部位のうち,適当な部位に角度センサを取り付けることで,障害箇所や程度に依存せず,共通の操縦インタフェースで運転できるようにする. 曲げセンサとして昨年度はひずみセンサの1つであるFlexSensorを利用していたが,出力にバラツキが多く温度変化の影響も受けやすかったことから,電磁材料研究所の協力を得てCr-Nひずみセンサに変更した.アクチュエータ付き電気自動車PIUSは計画より早く6月に納車となった.しかし,ひずみセンサをアクチュエータに接続する際の設定ミスでステアリング制御用のアクチュエータが全損してしまい,その影響で走行試験環境の構築は9月から開始となった.それ以降,操縦装置側の曲げ角度とタイヤの曲げ角度の調整に手間取り,11月から走行実験を行い,操縦性能に関するデータを取得した.その研究成果を2015年7月開催の情報処理学会DICOMO 2015で発表する予定である. また,12月18日に脊椎損傷の障害者の方による試乗会を実施した.その状況が,NHK盛岡放送局の「おばんです岩手」(12月18日放送)およびIBC岩手放送のエコーニュース(12月18日放送)で紹介された.また,12月19日付けの岩手日報でも紹介された. 本操縦装置の商品化に向け,障がい者向け自動車を製造している企業と情報交換を始めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電気自動車PIUSを開発しているMODI社を窓口としてアクチュエータを発注・開発したことから,6月にはアクチュエータ付きの電気自動車PIUSが納入となった.その一方,アクチュエータと我々が開発してきた曲げセンサを内蔵した操縦装置との接続において,接続条件の仕様に不明確なところがあったことから,アクチュエータの破損および操縦装置からの出力である曲げ角度とタイヤの角度とのマッチングで苦労し,予定していたより長い時間を要してしまった.FlexSensorの出力が不安定で温度特性も良くないことから,新たに電磁材料研究所のCr-Nセンサに変更した点も若干の研究遅延要因となった.それらにより,1か月程度の遅延が発生してしまった. 走行実験に関しては,11月末には雪が降り始めたことから,データ取得期間が想定していたより短くなったしまった.しかし,限られた範囲で取得したデータをシンポジウムで発表する予定である.また,脊髄損傷の障がい者の方向けに試乗会を開催し,TVや新聞で紹介された.
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今後の研究の推進方策 |
Cr-Nセンサが大きな歪みに弱く,現在の操縦装置の構造には適さないことが分かってきたことから,新たなひずみセンサに切り替える.現時点では,東洋測器株式会社の製品が良いと評価している. 主たる障がい者としてサリドマイド禍の方を想定していたことから,その方たちによる評価を2017年度前期に実施する. 計画通り,他部位向けの操縦装置を開発すると共に,ブレーキ・アクセル制御も行う.ナビゲーションシステムとの連携については,再度計画を立てる. それ以外では,障害者向け自動車の製造会社との連携を深め,本操縦装置の商品化に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に繰り越して利用する。
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次年度使用額の使用計画 |
学会参加費として利用する。
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