研究課題/領域番号 |
25330239
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
神代 充 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (30314967)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 身体的インタラクション / 動作解析 / ロボット |
研究概要 |
平成25年度は,まず,接触を伴った身体的インタラクションとして,ロボットに人間との握手動作を生成させるための握手動作モデルの提案を行った.握手動作としては,人間が接近し握手を求めた場合にそれに応じる動作(握手応答動作)と接近してくる人間に握手を求める動作(握手要求動作)の2つの動作を対象とし,人間同士の握手動作の解析を行った.解析では,手部軌道,手部動作の開始タイミング,および音声挨拶の発声タイミングについて計測を行った.そして,解析結果に基づいて握手応答動作と握手要求動作をロボットに生成するための握手動作モデルの提案を行った.さらに,この提案した握手動作モデルを現有する上肢ロボットに適用することで握手ロボットシステムを構築した.そして,この握手ロボットシステムを用いた合成的解析により,人間に好まれる握手応答動作と握手要求動作では,手部動作と音声挨拶のタイミングが異なることなど,人間に好まれる握手動作におけるロボットの動作特性を明らかとした.また,この握手動作モデルにより生成される動作が人間に好まれることが示され,その有効性を示した. さらに,人間同士の手渡し動作を解析し,手渡し動作が握手動作と類似していることが示された.そのため,握手動作モデルを応用して,人間との手渡しを行う手渡し動作モデルの提案を進めている.また,ハグ動作についても,人間同士の動作解析を行い,その解析結果に基づいてハグ動作を生成するハグ動作モデルの提案を進めている. また,人間との握手やハグなどの身体的インタラクション動作を生成するための双腕ロボットの設計・製作を行った.この双腕ロボットは片腕に7自由度(計14自由度)を有しており,多様な動作の生成を可能にている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は握手動作やハグ動作などの接触を伴った身体的インタラクションに着目して,人間同士の動作解析を行った.また,握手動作に関しては,人間が接近し握手を求めた場合にそれに応じる握手応答動作と接近してくる人間に握手を求める握手要求動作の2つの動作を対象として,人間同士の動作解析に基づいた握手動作モデルを提案し,その有効性を合成的解析,および官能評価実験により示した.また,この実験により握手応答動作と握手要求動作では,人間に好まれる手部動作と音声挨拶のタイミングが異なることなど,人間の身体的インタラクション特性の解明を進めている.しかしながら,平成25年度に予定した挙手などの接触を伴わない身体的インタラクションに関する人間同士の動作解析およびその動作モデルの提案は行わず,平成26年度以降に予定していた手渡し動作の動作解析を実施した.これは握手動作と手渡し動作が互いの手部同士を接近させ接触させる点で類似しており,これらの動作は深く関係していると考えられるためである.そのため,握手動作の解析と平行して手渡し動作の解析を実施し,これらの動作における人間の動作特性の相違点を検討している. また,平成25年度の計画通りに人間との身体的インタラクションを生成するための双腕ロボットの設計・製作を行った.平成26年度以降はこの身体的インタラクションロボットに提案する動作モデルを適用し,合成的解析や官能評価実験により動作モデルの有効性や人間の身体的インタラクション特性を検討していく予定である.そのため,平成25年度は研究目標をおおむね達成しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度では,まず,接触を伴わない身体的インタラクションとして挙手動作に着目し,ロボットに挙手動作を生成するための挙手動作モデルの提案を行う.挙手動作モデルの提案は人間同士の挙手動作による挨拶を解析し,その解析結果に基づいて行う.解析では,握手動作と同様に手部軌道,手部動作の開始タイミング,および音声挨拶の発声タイミングについて計測を行う.そして,提案する挙手動作モデルを平成25年度に製作した双腕ロボットに適用した挙手動作ロボットシステムを構築し,それを用いた合成的解析,および官能評価実験から人間に好まれる挙手動作におけるロボットの動作特性を明らかとする.この挙手動作は握手動作と接触の有無が異なるものの,上肢を用いた身体的インタラクションであるため,類似したものである.そのため,この人間に好まれる挙手動作におけるロボットの動作特性を平成25年度に示された人間に好まれる握手動作におけるロボットの動作特性と比較することで,接触の有無による人間に好まれる動作特性の違いなどを検討する.また,平成25年度に人間同士の動作解析を行ったハグ動作については,その解析結果に基づいて人間とのハグ動作を生成するハグ動作モデルを提案する.そして,このハグ動作モデルを平成25年度に製作した双腕ロボットに適用したハグ動作ロボットシステムを構築し,合成的解析,および官能評価実験から,人間に好まれるハグ動作におけるロボットの動作特性を明らかとする. 平成27年度は平成25年度に提案した握手動作モデルと平成26年度に提案するハグ動作モデルを応用することで,身のまわりの物を人間に手渡してくれるロボットシステムや優しく抱きかかえてくれるロボットシステムを構築する.そして,それらを用いた官能評価実験からその有効性を示す.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に設計・製作を行った身体的インタラクションロボットの制御用コンピュータを現有するコンピュータで代用したため. 資料収集および研究成果の発表のための旅費として使用する予定である.
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