研究課題/領域番号 |
25330246
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
鳥居 一平 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (50454327)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 画像処理 |
研究実績の概要 |
残像を用いた高精度な瞬き判定を用いて,どのような環境でも自然瞬きや眼球の動き,眼の形の変化による誤作動を起こさず,意識的瞬きのみを検出し,文字を選択・発音で伝えることのできるコミュニケーション支援ツール「あいとーく」「あいてる」を開発し,iTunes Storeから無償で全国に配布され活用されている.この検出手法は現在特許出願中である.(2014-081605)さらに,使いやすさと機械に対峙した時に緊張しない操作性を求め,この高精度な瞬き検出手法をさらに発展させ,肢体不自由児やALS患者,高齢者のために,眼球運動から視線方向を判定する非接触型の代替コミュニケーション支援ツールの研究・開発を行った. フロントカメラからの画像処理を用いてマルチタスクの並列処理により,OpenCVのHAAR-like分類器により,常に眼球の中心部を求める.黒目の部分を中心点から4分割して,それぞれのドット数と残像との変化を比較し,視線方向の判定を行い,視線によりカーソルを移動させ文字選択を使いやすく簡易化した. しかし,ラップトップPCの一方向からのカメラでは,左右の動きは捉えられるが,上下の動きはどのような方法を用いても捉えることができなかった.そこで視線方向と縦方向は従来の瞬きによる選択で文字を決定することで,格段に速い文字選択が可能になった. 【文字選択の手順】1、五十音表で視線方向によりカーソルを移動し“行"を選択.2、瞬きによって行内の“文字"を選択後,上段に移動.3、濁音半濁音・削除・続ける・発声・全削除を瞬きで行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に進めた研究の精度向上。カスタマイズできる細かい設定の構築と、特別支援学校(瀬戸市立瀬戸養護学校:さくらんぼ学園)原田教諭らとの連携で、重度の肢体不自由児の臨床データを元に開発と修正を行った. 処理簡便化と高速化と検出の高精度と同時に誤作動を制御させる.タブレットは,アームクリップでベッドに固定し,仰向けの寝たままの状態で使用し,これにより眼部のキャリブレーションを起動時のみ行うことになった. 誤検出処理として,動画像を取り込むことで起きる処理落ちのエラー率を下げるために、眼部追従プログラムの高精度化を図った.また,肢体不自由児の場合,障がいの差が激しいので対象者や使用する環境に合わせて自由にカスタマイズできるようにした,1、明るさの調整。瞬きの速さと間隔.2、選択解除するための長い瞬きの登録,3、発音する声の高低を自由に変更できる.4、背景を見やすく白・黒に変更できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究ではタブレット端末ではなく,ラックトップPCのフロントカメラからの画像を用いる.マルチタスクの並列処理によって,OpenCVのHAAR-like分類器により常に眼球の中心部を求め,残像を用いた高精度な画像判定手法をさらに発展させ,黒目の変化量から,左右の眼球の中心部の振動のブレを数値化し,様々な状況における被験者の状態を眼球振動のブレの値を元に判別していく. 左右それぞれの眼部の中心点の振動のブレを残像との比較によって約20fpsの精度で変化量を測定し,左右の相対する画素数の変化量が大きく違うとき,左右の眼部の中心点の違う動きを計測する. 変化量の中点を散布図に置き換え,散布図からニューラルネットを利用し,疲労度測定器や脳血流計測機のデータと合わせ,健康状態や疲労度を知らせ,糖尿病や脳疾患の前触れを客観的な診断手法として早期発見へと発展させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
タブレット端末ではなく,ラックトップPCのフロントカメラからの画像を用いて,OpenCVのHAAR-like分類器をマルチタスクの並列処理によって常に眼部の抽出を行い,球の中心部を求めるために,ノートパソコン(Lenovo ThinkPadT440S・Apple Mac Book)を購入した.
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次年度使用額の使用計画 |
KES-2015(19th International Conference on Knowledge-Based and Intelligent Information & Engineering Systems)への投稿と図書としての発刊のため
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