研究課題/領域番号 |
25330249
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
高田 秀志 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30378830)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ユーザインタフェース / タブレット / 情報共有 |
研究実績の概要 |
本研究では、タブレット端末に備えられているタッチパネルやセンサを有効に活用し、ユーザ間の即時的な情報共有をより効果的かつ効率的に行えるようにするための方式について検討を行っている。 2014年度は、まず、タブレット端末の画面上のオブジェクトを指で弾いて飛ばすことによる情報共有方法について、ユーザ間の相対的な位置関係をタブレット端末に備わっているカメラを用いて認識する方式について検討し、プロトタイプシステムの構築を行った。本プロトタイプシステムの構築を通じて、タブレット端末内のジャイロセンサによって方向が概ね正しく認識できることが確認された。また、国際会議ACM CSCW’15にて本システムのデモ発表を行った。 次に、タブレット端末内の加速度センサにより手渡し動作を検出することによって、紙を渡すようなイメージで電子ファイルを交換できるシステムのプロトタイプシステムを実現し、質的評価法の一つであるGrounded Theory Approachによって、どのような動作が手渡し動作システムへの好印象を与えるのかの評価を実施した。その結果、双方向性、即時性、容易性、場の雰囲気が好印象を与える要素として挙げられることが抽出できた。 さらに、机上の仮想作業空間をタブレット端末の画面で覗き込むインタフェースを提供し、タブレット端末を机上で移動させることによって仮想作業空間上でのスクロールが行える「仮想テーブルトップ環境」を構築し、従来から採られているスワイプスクロール方式と比較した基礎的な評価を行った。また、この成果を情報処理学会論文誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実施計画として挙げていたタブレット端末を並べて結合することによる情報共有方法、タブレット端末の画面上のオブジェクトを弾いて飛ばすことによる情報共有方法、および、オンラインストレージと連携した情報共有方法については、それぞれプロトタイプを構築し、ユーザ評価を実施することができた。また、手渡し動作を導入したシステムを当初の計画を超えて実現し、昨年度からの課題になっていた質的評価法による有効性検証を行った。さらに、タブレット端末のカメラを用いてユーザ間の相対的な位置関係を認識する手法や、仮想テーブルトップ環境による協調作業支援環境など、計画時には想定していなかった新たな可能性についても検討を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ユーザ間の相対的な位置関係を認識する手法について、実際にユーザ評価を行い、有効性を確認する。また、仮想テーブルトップ環境については、実際のアプリケーションに適用することによってさらに有効性の検証を進める。本研究の最終年度に当たり、これらの成果を積極的に論文としてまとめていく予定である。
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