研究課題/領域番号 |
25330250
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
土江田 織枝 釧路工業高等専門学校, 情報工学科, 助教 (10230723)
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研究分担者 |
林 裕樹 釧路工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (60342440)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スクリーン上の手の影 / 赤外線 / ポインティングシステム / ダイクロイックミラー |
研究概要 |
本研究での開発予定のシステムに必要とされるスクリーン上の指先の影にスクリーン上のカーソルの位置を合わせる方法や,スクリーン上の手の影を使用してポインティング操作を行う部分までは,試作システム(以後,従来システムと呼ぶ)により実現している. 従来システムは,システムの構造とキャリブレーション操作についての問題点があった.システムの構造上の問題点としては,ユーザはシステムの使用時に,IR(赤外線)を発光するデバイスの把持などをせずに反射シールで作成した指サックを指に装着してIRの反射光を利用していたので,システムにはIRを投光するためのIR投光器を使用する必要があった.IR投光器には電源の供給のために数台の電源を使用する.そのため,システムを容易に移動することは難しかった.次にキャリブレーション操作についての問題点は,従来システムでは,システム起動後に,使用したいスクリーンの範囲について上下左右の4点をスクリーン上に直接指示動作を行う必要があった.そのため,大型スクリーンの上部の左右2点についての指示動作では椅子などを使用して行わなければならず,ユーザにとっては大きな負担となっていた.これらの問題点についての改善に向けての検討を行った. まず,システムの移動設置のしやすさについては,IR投光器を使用せずに同じ動作でポインティング操作を実現することを検討し,指に装着するタイプのIR発光デバイスの開発を進めている.現在開発中のデバイスとしては指輪型IR発光デバイスを試作し動作確認や評価実験を行い改善点の検討を進めている.また,キャリブレーションの操作についての改善は,スクリーン上の手の影を使用してスクリーン上の4点の指示を行えるようにシステムの改良を行った.これにより,スクリーンの大きさに関係なくスクリーン上の指示動作を簡単に行うことができユーザの負担が軽減された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実施計画の一つであった,キャリブレーションの指示動作における負担軽減については,スクリーン上の4点を直接指先により指示を行う方法から,スクリーン上の手の影を使用して行う方法へ改善をすることができた.スクリーン上を直接指示する方法では,指示をするユーザの他に指示位置を確定するユーザも必要となり一人でスクリーン上の位置入力を行えないなどの問題点があった.また,大型のスクリーンに対応した際はスクリーン上部に手が届かないために椅子などを使用しなければならなかった.今回,スクリーン上の手の影を指示動作に使用できるように改善を行ったため,指示動作はユーザ一人で行うことができるようになり,大型スクリーンの上部への指示も容易に行うことができるようになった.また,指示動作の際もユーザはスクリーンに近寄る必要がなくなり,実際にポインティング操作を行う場所から移動する必要がなくなるなど,ユーザの使いやすさに大きな改善が見られた. 平成25年度の研究実施計画の二つ目である,手軽に持ち運びができるシステムへの改善については,IR(赤外線)投光器の使用がシステムの小型化ができない原因となっているため,IR投光器を使用する代わりに,IRを発光する装着型デバイスの開発を行っている.平成25年度では試作デバイスの作成を行いそれらについては評価実験を実施した.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究実施計画の一つ目は,前年度に引き続き,装着型のIR発光デバイスの開発を進めることである.既に試作を行った装着型デバイスについての評価実験は前年度に実施したため,それらの評価結果から試作デバイスの問題点について改善をし,再度試作システムの開発を続ける予定となっている.試作デバイスをもとに,デバイスを装着する手の箇所やデバイスの形状,また,IRを発光させる方法についても検討を進める予定である.試作は複数回行うことを目標とし,それらの評価を敏速に行うことでデバイスの開発を行う. 研究実施計画の二つ目は,プロジェクタとWiiリモコンとダイクロイックミラーの設置の固定化の検討である.現在のシステムではこれらは固定して設置されていないため,使用の度に調整が必要となる.特にダイクロイックミラーの設置は正確な調整が必要とされる.固定した状態においても持ち運びが可能とできるように試作と評価を実施しながら開発を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画通り研究を進めていたが,購入物品を安価に購入することができたため. 次年度に使用できる経費と一緒に使用することで,研究に支障のないシステムの購入を行う.
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