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2014 年度 実施状況報告書

インタラクティブ性の有無を考慮した話し言葉・書き言葉間の変換のための基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25330252
研究機関埼玉大学

研究代表者

高松 亮  埼玉大学, 経済学部, 准教授 (20216782)

研究分担者 菊池 英明  早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70308261)
小磯 花絵  大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 理論・構造研究系, 准教授 (30312200)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード自然言語処理 / インタラクション
研究実績の概要

本年度は,発話データの整理・アノテーションならびに分析を進めた.まず,書き言葉に対し形態論情報ならびに文節同士の修飾・被修飾関係の情報を付与した.また,話し言葉の一部についてフィラーおよび語断片などに対してラベリングを行なった.
収録した発話データは,話し言葉と書き言葉に対し「インタラクションあり(以下「対話」と呼ぶ)」と「インタラクションなし(以下「独話」と呼ぶ)」の2条件で,8名の被験者が各々4回ずつ収録したものである.書き言葉のデータを分析した結果,ある被験者が繰り返し同一画像を叙述することによる,次のような傾向が生じることがわかった.
同一被験者が同一の画像を繰り返し叙述すると,発話文は次第に「推敲」されていくことであろう.本研究で得られたデータにおいても推敲が進んでいくことを示唆する結果が得られた.ただし,独話では,4回の繰り返しを通じて次第に発話文が変化して行くのに対し,対話では2回目以降の発話文の変化が比較的少ない.
すなわち,独話では,1~4回目にかけて単調に文の数が減る一方で,形態素や文節数はあまり変化せず,1文あたりの形態素数,文節数が増加する(文長が増加する).対話において2回以降変化が少なくなる原因としては,1)受け手に対する「チャットの相手は毎回変化する」という教示の影響,2)相手とのチャットによって即時的な発話がうながされることで,推敲作業に割く認知的リソースが不足することなどが考えられる.
なお,対話において叙述の回数が進むと,受け手が画像を記憶してしまうため対話的なやりとりの必要性が減少し,受け手から送り手への働きかけが減少するという,望ましくない現象は見られなかった.これは,送り手に対し受け手は毎回異なる旨の教示を行なったこと,受け手にもそのように振舞うよう指示したためであると考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度の実績報告書に記したように,音声,文字データに対するアノテーションと分析を行なった.しかし,現時点で全てのデータについて分析が完了していない.

今後の研究の推進方策

上述のように,実験デザインを工夫することで,「インタラクションあり」の条件において,叙述の繰り返しの回数が進むと,受け手にとってその画像が既知なものであるため,対話的なやりとりの必要性が減少し,受け手から送り手への働きかけの少ない,より独話に近いコミュニケーションが生じる,という望ましくない現象を予備実験の段階で回避することができた.その結果,本実験をあらためて行なわず,予備実験において得られたデータを詳細に分析することで,研究目的を達成可能である見通しがたった.
そこで,平成27年度においては昨年度にアノテーションと分析が未了であったデータについて,これらの作業を行ない,独話と対話それぞれにおける書き言葉らしさ,話し言葉らしさを明らかにし,得られた知見を成果として発表する.さらに実験データをコーパスとして公開することを前提としたデータの整備を行なう.

次年度使用額が生じた理由

「今後の研究の推進方策等」の欄に記したように,実験デザインの工夫により,予備実験を行なった段階で当初本実験において得られる水準のデータを収録することができたため,本実験を実施した場合に必要となる謝金等の支出がなかった.

次年度使用額の使用計画

次年度において,予備実験によって得られたデータについて,より詳細な分析を行なう必要がある.そのために必要な物品ならびに謝金等について次年度使用額をあてる.

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公開日: 2016-05-27  

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