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2013 年度 実施状況報告書

大規模分散共有資源の最適化に向けた協調問題解決アルゴリズムの高度化

研究課題

研究課題/領域番号 25330257
研究種目

基盤研究(C)

研究機関名古屋工業大学

研究代表者

松井 俊浩  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60437093)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードマルチエージェントシステム / 分散協調問題解決 / 分散制約最適化 / 資源割り当て
研究概要

本研究では,大規模分散システムにおける,共有資源の高度な最適化を目標として,分散協調問題解決の基礎技術を発展させるための課題に取り組んでいる.人工知能分野における基本問題である分散制約最適化問題を基礎として,従来よりも複雑な構造や目的を持つ,分散共有資源にかかわる分散最適化問題の分析,それらに共通の汎用的な定式化,および解法の開発を目的としている.
本年度においては,大規模資源供給網上の分散資源割当てのための問題のモデル化および,階層構造と近似的手法にもとづく解法を中心として検討を進めた.
電力スマートグリッドを動機付けとする資源供給網を分散協調型のクラスタリングアルゴリズムにより階層的に分割し,クラスタ木上で解探索を適用することにより資源の割り当てを決定する手法を提案した.これにより,従来解法の適用が困難な問題においても比較的高い程度で実行可能解を得ることができた.
また,分散制約最適化問題の二種類の近似解法を統合し,エージェント近傍の部分問題における局所探索と,大域的な情報の収集を伴う動的計画法を併用することにより,解の精度を向上する手法を提案した.
次年度に計画されている課題に向けた基本的な取り組みとして,連続変量を持つ資源割り当て問題のための分散最適化手法について検討した.通信ネットワーク上で連続変量を持つ通信帯域を送信ノードに割り当てる分散資源割り当て問題を,分散制約最適化問題の部分クラスに帰着し,その解法を帰着された分散制約最適化問題に適用する手法を提案した.また,確率的山登り法に基づく分散制約最適化手法を連続変量に拡張する手法を提案した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度に計画されていた,大規模資源供給網上の分散資源割当てのための問題のモデル化と階層構造と近似的手法もとづく解法については,(1) 電力スマートグリッドを動機付けとする資源供給網における階層的領域分割に基づく資源割り当て手法,(2) 分散制約最適化問題の二種類の近似解法を統合した局所および大域的情報の収集を併用する最適化手法により,一定の成果が得られた.
また,次年度に計画されている課題に向けた基本的な取り組みとして,連続変量を持つ分散最適化問題への検討に着手している.
以上により,本研究の進捗状況はおおむね順調と考えられる.

今後の研究の推進方策

次年度は,従来の分散制約最適化手法や数値計算的解法のみでは対応できない連続変量の資源や制約条件を含む分散資源割り当て問題の解法を目指す.昨年度の基礎検討や関連研究をもとに問題のモデル化と解法の開発を目指す.連続値と離散値が混在する場合や問題特有の構造がある場合などのより複合的な問題についても検討する.
また,分散共有資源の割り当て問題における参加者の公平性などを考慮する高度な多目的最適化手法の導入について基礎検討を進める.

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] 分散制約最適化問題の異なる精度保証付き非厳密解法の統合手法2014

    • 著者名/発表者名
      谷藤拓麻, 松井俊浩, 松尾啓志
    • 雑誌名

      人工知能学会論文誌

      巻: 29 (3) ページ: 277-287

    • DOI

      http://doi.org/10.1527/tjsai.29.277

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Complete Distributed Search Algorithm for Cyclic Factor Graphs2014

    • 著者名/発表者名
      Toshihiro Matsui and Hiroshi Matsuo
    • 雑誌名

      Proc. 6th International Conference on Agents and Artificial Intelligence (ICAART 2014)

      巻: 2 ページ: 184-192

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 連続変数の分散制約最適化問題のための解法2014

    • 著者名/発表者名
      羽佐田智之, 松井俊浩, 松尾啓志
    • 雑誌名

      第12 回情報科学技術フォーラム(FIT2013)講演論文集

      巻: 第2分冊 ページ: 33-40

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 分散制約最適化問題の異なる非厳密解法の統合手法2014

    • 著者名/発表者名
      谷藤拓麻, 松井俊浩, 松尾啓志
    • 雑誌名

      第12 回情報科学技術フォーラム(FIT2013)講演論文集

      巻: 第2分冊 ページ: 41-48

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Distributed Cooperative Optimization on Cluster Trees2013

    • 著者名/発表者名
      Toshihiro Matsui and Hiroshi Matsuo
    • 雑誌名

      Proc. 2013 IEEE/WIC/ACM International Conference on Intelligent Agent Technology (IAT2013)

      巻: なし ページ: 25-32

    • DOI

      10.1109/WI-IAT.2013.88

    • 査読あり
  • [学会発表] Complete Distributed Search Algorithm for Cyclic Factor Graphs2014

    • 著者名/発表者名
      Toshihiro Matsui and Hiroshi Matsuo
    • 学会等名
      6th International Conference on Agents and Artificial Intelligence (ICAART 2014)
    • 発表場所
      Angers, France
    • 年月日
      20140306-20140308
  • [学会発表] 一般化相互割当問題におけるジョブ間の相関を考慮する解法の検討2014

    • 著者名/発表者名
      浅野大介, 松井俊浩, 松尾啓志
    • 学会等名
      人工知能学会 第92回人工知能基本問題研究会(SIG-FPAI)
    • 発表場所
      函館
    • 年月日
      20140130-20140131
  • [学会発表] Distributed Cooperative Optimization on Cluster Trees2013

    • 著者名/発表者名
      Toshihiro Matsui and Hiroshi Matsuo
    • 学会等名
      2013 IEEE/WIC/ACM International Conference on Intelligent Agent Technology (IAT2013)
    • 発表場所
      Atlanta, USA
    • 年月日
      20131117-20131120
  • [学会発表] 連続変数の分散制約最適化問題のための解法2013

    • 著者名/発表者名
      羽佐田智之, 松井俊浩, 松尾啓志
    • 学会等名
      第12回情報科学技術フォーラム(FIT2013)
    • 発表場所
      鳥取
    • 年月日
      20130904-20130906
  • [学会発表] 分散制約最適化問題の異なる非厳密解法の統合手法2013

    • 著者名/発表者名
      谷藤拓麻, 松井俊浩, 松尾啓志
    • 学会等名
      第12回情報科学技術フォーラム(FIT2013)
    • 発表場所
      鳥取
    • 年月日
      20130904-20130906
  • [学会発表] 分散資源割り当て問題の規模拡大のための異種解法の統合の検討2013

    • 著者名/発表者名
      松井俊浩, 松尾啓志
    • 学会等名
      2013年度人工知能学会全国大会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20130604-20130607

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公開日: 2015-05-28  

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