ユーザの主体感覚を乖離させ、それを物や架空の存在に帰属させることで、その「何かしら」に意図性や存在感を与える研究を実施した。本研究は、申請書に沿った研究である「主体感覚の乖離と帰属による占い型相談システム」と、そこから派生した「書き置き風メッセージによる存在感の演出」という二本柱で実施してきた。前者の研究では、相談者の不覚筋動(知覚されない微細な筋肉の動き)を用いることで、相談者本人に気づかれずに、本人自身が自分の隠れた意図を表出するという新しい知見が得られた。後者の研究では、書き置きという古くて新しいメディアによって、その背後に誰かの存在を感じさせ、使用者の寂しさを和らげる効果が確認できた。
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