本研究では、サーベイ論文に新しい論文を追加することにより、最新の研究同行を含んだサーベイ論文の自動作成を目指している。平成25年度は、既存サーベイ論文をもとに、そこでは言及されていない新しい論文を検索する手法を提案した。平成26年度は、平成25年度に開発した検索手法で収集された論文の中から、サーベイ論文に追加すべき論文の重要度を自動的に評価する手法について研究を行った。最終年度は、平成25、26年度に開発した手法を用いて収集した学術論文を対象に、サーベイ論文を自動更新する手法について検討した。 情報分野の専門書籍4冊の(1)旧版一章と(2)対応する新版の章で追加された論文をシステムの入力とし、新版の章で新たに記載された箇所を正解要約と考え、提案システムで正解要約をどの程度再現できるかにより評価を行った。提案システムでは、「(2)対応する新版の章で追加された論文」の概要を使った場合、概要と引用箇所を使った場合、概要と引用箇所と本文を使った場合の3種類で実験を行った。実験では36個の正解要約を対象にROUGEを用いて評価を行った。実験の結果、概要と引用箇所と本文を使った場合に、もっとも高いROUGE値が得られた。ただし、実用可能なレベルの要約生成を出力するまでには至っていない。今後は、(a)旧版の章の文脈を考慮し、新論文の情報をどのような文脈で追加するかを検討すること、また、その上で(b)旧版の論文の情報も活用することなどが検討課題として残されている。
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