研究課題/領域番号 |
25330267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
水野 一徳 拓殖大学, 工学部, 准教授 (20439524)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 制約充足問題 / 探索 / 群知能 / 相転移 / グラフ彩色問題 / メタヒューリスティクス / NP完全 |
研究概要 |
本年度実施した研究の成果は大きく2つに分けられる.まず,1点目は,交付申請書記載の第一の研究目的に関するもので,制約充足問題を群知能モデルを用いた確率的解探索アルゴリズムによって解決する方法の考察および開発を行なった.具体的には,ミツバチの採餌行動を模した方法であるABC(Artficial Bee Colony)アルゴリズムを制約充足問題に適用するための改良,および局所探索能力の促進のために山登り法と呼ばれる局所探索とのハイブリッドした方法を提案・開発した.これによって,第一の研究目的を達成するための基盤を作ることができた. 次に,2点目は,第二の研究目的に関連するもので,制約充足問題の個別の問題の解決の困難さに関する考察と,その考察結果を生かした新たな問題生成方法について考察した.具体的には,制約充足問題の代表的な例題であるグラフ彩色問題に対して,先行研究の問題生成の方法の欠点を補うことができる方法を進化計算によって実現する方法について考察した.ここで生成される問題は,従来より提案されている様々な解決アルゴリズムのどれを用いても,個別の問題を解決するために非常に計算手間を要する(問題サイズの指数オーダ)が予想される.これは,第二の研究目的で記載した制約充足問題の相転移現象が発生する要因を探る上で重要な研究成果であるといえる.また,ここで考案した実問題生成法は,解探索アルゴリズムを評価するためのベンチマーク問題を提供できるという意味で,アルゴリズム開発および組合せ探索,組合せ最適化や計算複雑さの理論などの分野の発展に寄与することができるものと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的であげている,群知能モデルを用いた問題解決アルゴリズムについて,その代表的なモデルの1つを用いて制約充足問題に適用できる方法を実装し,今後の自己適応型のメタヒューリスティクスへの拡張の基盤ができつつあること,および,解決困難な具体的問題の生成方法の詳細な分析や欠点を補うための足がかりでできつつあることなどの成果が得られているため. また,上記に際して予備的な計算機実験を行ない,ほぼ予想通りの有効な結果が得られているため.
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今後の研究の推進方策 |
群知能を用いた方法については,他のモデルについても考察・実装などを行なう必要がある.また,自己適応型のメタヒューリスティクスへの拡張という課題が残っている.ただ,これに関しては,これまで開発してきた方法から得られている知見などから,いくつかの試みが考えられるので,まずはそれらについての考察をより詳細化していくことを予定している. また,問題生成については,現在考案中の方法の具体化,およびより詳細な計算機実験が必要であると考えている. これら上記の目的は,別々のアプローチであるが,研究の方向性としてうまく融合させていくことも重要であると考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していた備品(計算機)の発売時期のタイミングと遅れにより購入が間に合わなかったため.また,研究協力者への謝金として予定していた分について,計算機実験の予定に多少のずれが生じたことにより,謝金を伴う研究協力を次年度以降にお願いすることにしたため. 上記の理由で記述した備品については,早急に購入し研究進捗に影響がでないように努める.また,次年度は計算機実験の頻度も高まることが予想されることから,実験やデータ整理など,研究協力者への謝金として使用していく. 次年度請求分について,上述の通り計算機実験をスムーズに行なえるような備品(特に計算機)の準備や研究成果発表のための旅費などとして,研究計画に沿ってできる限り計画的に使用していく予定である.
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