本年度実施した研究の成果は,解決困難な制約充足問題をなるべく効率よく解決するためのアルゴリズムの開発・評価,およびそのような問題の具体例としての応用システムの開発と評価である.まず,アルゴリズムの開発と評価については,前年度考案した群知能モデルに基づくアルゴリズムの軽微な改良および実装と計算機シミュレーションによる性能評価実験を行なった.実験には,広くベンチマークとして用いられている問題に適用し,その有効性を検証した.しかし,本研究で生成した解決困難な制約充足問題への適用については,十分な評価を行なうには至っていない. 次に,シミュレーションシステムの評価については,解決困難な具体的問題として,人流問題を対象として,特にテーマパーク等での人の流れをモデル化してシミュレーションや評価を行なうことができるシステムを開発した.また,前年度初期検討として実装した図形パターン処理システムの大幅な改良を行なった.このシステムは,上記のアルゴリズムと同様に,問題解決の初期段階では広く解を見出す処理(大域的な探索)を行ない,解析的処理(局所的な探索)に移行するというアルゴリズムを組み込んでいる.これにより,入力されたパターン形状に対して,できるだけ制約条件を満足していて,かつ,入力形状にできるだけ類似の形状を作り出すことができた.
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