研究課題/領域番号 |
25330269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
赤石 美奈 法政大学, 情報科学部, 教授 (60273166)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歴史知識学 / 視覚化 |
研究概要 |
膨大な編年型データを抱える学問分野である歴史学を対象として、歴史史料(大日本史料)を用い、歴史学者のニーズや思考プロセスについて考察を進めながら、編年型データ解析の基本システムの設計・開発を進めた。 開発中のシステムは、編年型データに対する汎用的な解析手段を提供することを目的とし、(i)データ全体の俯瞰、(ii)分析の着眼点の獲得、(iii)詳細分析という解析プロセスデザインに基づき、データを視覚化し、様々な観点からのデータパターンの発見を支援する技術を提供するものである。このためのフレームワークの設計を進め、基本部分の実装を行った。 また、(iii)の詳細分析においては、多角的に分析を行うための各種の視覚的分析ツールの提供が有用であると考え、そのための基本技術として、関係分析と関係変化可視化フレームワークについての研究を進めている。これまでのところ、歴史史料の分野において有用な各種関係やパターンを定義し、それらの分析・可視化のフレームワークの提案、及びシステムの構築を行った。 さらに、(ii)の分析の着眼点の獲得においては、獲得された着眼点を視点として、次々と関連する視点を連想的に展開する仕組みについて研究を進めた。つまり、最初の着眼点を情報を構造化するための切り口とし、関係パターンを展開して多視点を得て、異なる視点からの概念構造ネットワークを抽出し、これを視覚化する手法について研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データの整理、及び、整形に、予想以上に手間と時間がかかってしまったため、実装が遅れている。しかしながら、理論的な設計は、進めており、それに基づき、速やかにシステム構築を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
「編年型データ解析プロセスモデルの構築」と「関係分析と関係変化可視化フレームワーク」に関しては、既になされているシステム設計に基づき、実際のデータを用いて解析が行えるシステムの実装を進める。 また、「概念構造の経年変化」に関しては、動的に変化する概念や概念構造を扱うダイナミック・オントロジーを構築し、データからのボトムアップに構築される概念の体系化を目指す。この仕組みを、編年型データ解析システムとして先に開発しているシステムに統合し、新たな知見や様々な解釈を創発するシステムの開発を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度、基本データ処理に予想以上の時間がかかり、購入予定の計算サーバの購入が遅れたため、研究におけるシステム実装の部分が、当初の計画より遅れている。 本年度は、計算サーバの購入と同時に、クライアントPCの購入も早期に進め、システムの実装、及び、実験を効率的に進める予定である。
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