研究課題/領域番号 |
25330272
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
横内 久猛 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (00512732)
|
研究分担者 |
廣安 知之 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (20298144)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 脳機能 / fNIRS / 情報交換 / 他者モデル |
研究実績の概要 |
本研究では、ある伝達目標を持つ情報伝達を脳機能イメージングデータの交換で実現する手法の開発を行う。2013年度に引き続き、2014年度はヒトー機械モデルおよびヒトーヒトモデルにおいて協調作業(タッピング課題)を行い、その際に重要となる脳部位を調査した
まず、人―機械モデルにおける同期タッピング課題を行った際の脳活動を fNIRS を用いて検討した。その際、人が一方的に合わせるモデルと、人と機械が互いに協調するモデル(機械が他者モデルを有するモデル)の 2 つのモデルを用いた実験を行った。両モデルで、両側頭部と前頭部に着目し、脳活動の比較を行った。その結果、下前頭回において同期モデルで賦活の傾向が見られた。特に左下前頭回で同期モデルの方が賦活の傾向が見られた。また、協調度の高い被験者は両モデルの前頭極において賦活の傾向が見られなかったため、協調に優れる人は前頭極において賦活を必要としないことが示唆された。
次に、ヒトーヒトモデルにおいて同期タッピング課題を行った際の検討を行った。各被験者ペアを協調できているペアとできていないペアに分類した。そして協調時の脳血流変化を算出した。上手く協調して同期協調タッピング課題を遂行できたペアにおいて,下前頭回,側頭葉,右の中前頭回の一部,左の頭頂葉の一部において脳血流の増加が見られた。協調できないペアではこれらの部位での活動は小さく、活性しなかったため、協調できなかったことが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト- 機械およびヒト-ヒトの協調作業時の脳機能の検討については、おおむね予定どおり遂行されている。 一方で、2014年度に検討する予定であった、伝達アルゴリズムの開発については、着手することができなかった。検討課題である。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、ヒトー機械モデルおよびヒトーヒトモデルにおいて、協調作業時に脳のどの部位が重要となるかについて実験的検討を行う。特に、機械に多種の他者モデルを持たせることで、ヒトが実際にどのようなモデルで協調作業を行っているかについても検討する。 また、fNIRSから得られる時系列データを直接、ユーザへ伝達するのではなく、上位の別次元データに変換することでより伝達情報の学習が容易になるようにする。この変換方法の学習アルゴリズムの検討を行う。これまで行ってきた協調作業時のヒトー機械およびヒトーヒトの脳機能活性部位の知見をもとに、関連する部位で得られる時系列データから別情報に変換するアルゴリズムを開発する。また、その開発されたシステムを実験で確認する。学習にはActor-Criticなどの強化学習アルゴリズムを用い、必要なパラメータは進化計算を利用する。莫大な計算を行うことを想定しており。クラスタ型並列計算機やGPGPUを利用する。さらに、現在想定している学習手法が機能しない場合には、ファジィ学習など他の学習アルゴリズムも検討して実現する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験計画を見直したために2014年度に行う予定であった実験を2015年度に繰り越したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
ノートPCおよびfNIRS関連装置の購入および消耗品の購入予定。
|