研究課題/領域番号 |
25330272
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
横内 久猛 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (00512732)
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研究分担者 |
廣安 知之 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (20298144)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳機能 / fNIRS / 情報交換 / 他者モデル |
研究実績の概要 |
本研究では、ある伝達目標を持つ情報伝達を脳機能イメージングデータの交換で実現する手法の開発を行っている。これまでに協調課題としてタッピング課題を採用し、ヒト同士が協調作業を行う際の脳活動の検討を行い、ヒトに内在するモデル構築の検討を行った。 実験では、タッピング課題時の音提示間隔を変化させ、それによりヒトが同期する際の脳活動をfNIRS (functional near-infrared spectroscopy)(ETG-7100、日立メディコ製)を用いて測定した。被験者は 21~26 歳の健常者 16 名(男性、左利き:2 名 右利き:14 名) で実験を行った。プローブは、前頭部 (22CH)、両側頭部 (各 24CH) に脳波電極配置の国際 基準である国際 10-20 法に従って設置した。刺激提示には,雑音源をできるだけ除去するため にノイズキャンセラー付イヤホン (ATH-ANC23 、オーディオテクニカ) を使用した。本実験 では、刺激提示を行うプログラムを Presentation ソフトを用 いて作成し、提示音刺激には、 100 ms 、 500 Hz の sin 波を用いた。 協調性と脳活動の関連を検討するために、活性部位の特定を行った。被験者の80%以上の人が活性した部位は、前頭部では前頭前野背外側部、左側頭部では角回に相当した。前頭前野背外側部の機能は行動制御、また角回の機能は行動の予測に関係していると言われている。以上より、音刺激間隔を変化させると、ヒトはタイミングを合わせようとする。その際に,次の音刺激を予測して行動するため、前頭前野背外側部と角回が活性したことが考えられる。 これにより、本タスクを行う際の情報伝達のためには、前頭前野背外側部と角回の脳機能情報を基にした情報の交換が有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2014年度に引き続き、ヒトー機械およびヒトーヒトの協調作業時の脳機能の検討について行い新しい知見を得た。すなわち、 情報伝達を行うためには、前頭前野背外側部と角回の脳機能の状態を相手に伝える必要がある。本研究では、自身の脳機能情報を変換して相手に伝える必要があるが、情報の変換方法についての検討はまだ着手できていない。今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果として、脳機能の情報伝達を行うためには、前頭前野背外側部と角回の脳機能の状態を相手に伝える必要があることが明らかとなった。今年度は、自身の脳機能情報を変換して相手に伝える際の、情報の変換方法についての検討を行う必要がある。 また、これまで協調課題として、タッピング課題を中心に行ってきたが、他の協調課題についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
自身の脳機能情報を変換して相手に伝える際の、情報の変換方法についての検討を行う必要がある。さらに、ヒト-ヒト間の実験が十分でない。そのため、引き続き実験の継続が必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
実験の被験者への謝礼として@5000円/日×3回×20人=300,000円を予定している。また、研究の成果を延長期間中に、国際会議(11月開催予定のNeuroscience)にて発表する予定である。この経費として@250,000円×2名を予定する。さらに、成果をまとめ論文投稿を行う。この費用として90,000円を予定する。
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