研究課題/領域番号 |
25330274
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
高橋 和子 関西学院大学, 理工学部, 教授 (30330400)
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研究分担者 |
巳波 弘佳 関西学院大学, 理工学部, 教授 (40351738)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 時空間推論 / 人工知能 / 計算モデル / ソフトウェア工学 / 定性推論 |
研究実績の概要 |
1. [高さ情報を伴う移動ナビゲーションシステムの作成と改良] まず,対象となる地形のイメージがわかるようにビジュアル化を行った.相対的高さ情報をもつ定性表現から 3 次元図形を描画するプログラムを作成した.次に,高さを考慮した経路探索部分について,これまでの C 言語での実装から論理型言語 Prolog への実装に変更するために,アルゴリズムの見直しと改良を行った.また,定性表現から地形の形状を推論するプログラムを作成した. 2. [矩形を基本図形とする表現と推論システムの改良] 前年度作成した,動画から画像編集ツールを使って手動でオブジェクトを切り出す支援システムについて以下の自動化を試みた.まず,機械学習機能をとりいれて対象オブジェクトを自動判定するプログラムを作成し,実験評価を行った.しかし,あまりよい結果が得られず,精度をよくするためにはかなりのデータ量と学習時間を使った調整が必要であることがわかった.また,連続画像の中で同一オブジェクトの対応づけをするプログラムを作成し,実験評価を行った.こちらは比較的よい結果が得られたため,逆に矩形を基本図形とする表現の時系列から得られる情報を取り込んで精度をあげることについても検討した. 3. [定性空間推論の枠組みに対する計算モデルの作成と証明] 定性空間表現の 1 つ PLCA についてその計算モデルを作成し,無矛盾性や2次元性などの性質について証明支援系 Coq を使って表現し証明を行った.また,矩形の重ねあわせシステムについても形式化を行い,証明支援系 Isabelle/HOL を使って表現し証明を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初の 2 つのサブテーマについては,システム全体の改良や評価にはいたらなかったが,インタフェースやデータ取得に関する部分については改良したため,今後の研究開発の効率化がはかれた.また,3 つ目の サブテーマについては,かなりの時間を費やした.その結果,証明支援系を使うことで机上の証明で見落としていたケースが発見されただけでなく,定義の曖昧性や思い込みによる厳密なモデル化の必要性が判明した.このことから,定性空間推論と計算モデルの研究分野をつなぐための研究としておおむね順調に進捗しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
1. [高さ情報を伴う移動ナビゲーションシステム作成と改良] 相対的高さ情報の表現方法の拡張とアルゴリズムの効率化を行って段差の危険度の判定や坂を登る負荷の有無等を考慮した移動ナビゲーションを作成する.また,この表現方法の妥当性について検討する. 2. [イベント推論システムの作成] 矩形を基本図形とする表現で,現状態と目標状態が与えられたときにオブジェクト間の位置関係が満たすべき条件を求める推論等を行う手法を検討する.また,表現の時系列から得られる情報を取り込んでオブジェクトの同一判定の精度をあげる手法についても検討し,これらをイベント推論システムに組み込む. 3. [定性空間推論の枠組みに対する計算モデルの作成と証明] 計算モデルの作成とその性質の計算機による証明を引き続き行う.PLCA について,手証明は終了しているが,自動証明が終了していない部分について証明を完成させる.また,矩形の重ね合わせシステムについては,対象を拡張した新たな表現方法と推論方法を提案し,その妥当性を証明する.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会への参加を予定していたが,論文投稿締切までに証明が完成しなかったため,投稿ができなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
上記証明完成の目処がたったので,適切な国際学会に投稿して参加発表する予定である.
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