研究課題/領域番号 |
25330276
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
赤穗 昭太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (40356340)
|
研究分担者 |
藤木 淳 福岡大学, 理学部, 准教授 (10357907)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | アルゴリズム / 機械学習 / 幾何学 / 関数解析学 / パタン認識 |
研究概要 |
本研究の目的は,特徴空間の幾何学的構造の解明およびそれに基づく学習アルゴリズムの構築を行い,パターン認識やコンピュータビジョンに応用することであり,その研究の流れに沿って下記のような成果を得た. まず第1に,点と点との間の類似度を直線度を反映した幾何学量として設計し,その類似度からスペクトラルクラスタリングというクラスタリング手法によってサンプルをクラスタリングする手法を開発した.このクラスタリング手法は魚眼レンズなどから得られる歪んだ画像からでも安定した直線抽出することができるという特徴をもつ.提案手法を実画像による実験によって既存手法より優れていることを示した.この成果は国際会議 CAIP2013 や国内研究会等で発表した. 第2に,再生核ヒルベルト空間上の曲面当てはめ問題について数値実験を行い,入力空間の計量や特徴写像の構造の関係を調べ,主成分分析と劣成分分析の関連性や,高次元になった場合にそれぞれのもつ問題点を明らかにした.具体的には,主成分分析ではpreimage問題を解くのが数値的に不安定であるのとなめらかな曲面が得られるとは限らないこと,劣成分分析ではあてはめ曲線の自由度が高すぎてどの曲線を選ぶべきかの明確な指針がないことがわかった.これらの成果は国際会議 CAIP2013 で発表したほか高次元データ解析に関する国際ワークショップの招待講演,国内研究会での招待講演において発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幾何学的な解析によって既存手法に勝る直線・曲線手法を開発でき,コンピュータビジョンやパターン認識分野へも貢献できたことから,実施計画の大枠は順調に進展していると考える.ただし,カーネル法における逆問題については,主成分分析と劣成分分析でかなり数学的構造が異なること,および,preimage 問題を解くだけではは必ずしもこちらの得たい情報を抽出できないという点が数値実験や理論解析によって判明した.それはそれ自体で重要な成果であると考えられるが,preimage に代わる新たな問題設定を模索するという新たな課題も生まれた.また,凸最適化アルゴリズムについてはいくつかのタイプを試みており,どのアプローチが有望であるかを見極めている段階である.
|
今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度の項に述べたように,preimage に代わる自然な入力空間への逆写像の構成を行うことが当面の課題となる.今後は情報幾何など微分幾何的構造をより深く解析することによってそれらの問題を含む問題解決を図っていくつもりである.また,凸最適化アルゴリズムについても並行して取り組み,情報論的に自然な規準を効率的に最適化できるような枠組みの完成に向けて研究を進めていくつもりである.
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初研究代表者の赤穂も参加を計画していた国際会議CAIP2013のための海外出張を見合わせたため. 26年度に当初より多くの国際会議への投稿を行っているため,採択された際には当該次年度使用額を充てる.
|