研究課題/領域番号 |
25330283
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
永田 賢二 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人工知能研究センター, 主任研究員 (10556062)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 機械学習 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / ベイズ推定 / モデル選択 / スペクトル分解 |
研究実績の概要 |
本研究では,マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法の挙動や緩和過程に基づいたベイズ推定の新たなモデル選択法の開発を行う. 平成28年度では,昨年度新たに定義したベイズ比熱の有効性を検証するシミュレーションを行い,それらの結果をまとめることに注力した.その結果のひとつとして,スペクトル分解のベイズ推定アルゴリズムにおいて,従来では用いるピークの個数を推定するモデル選択法を組み込んでいたが、これに加えてデータに重畳されるノイズのレベルも同時に推定する枠組みの開発に成功した. また,MCMC法をモデル選択に用いる計画を超えて、用いるデータの効率的な生成法についての開発も行った.対象としては、非制限ハートリーフォック計算により得られるスピン配列に対するエネルギーの値を、イジングモデルなどの古典的な有効モデルにより表現するベイズ推定の枠組みに適用した.推定自体は線形モデルで表現されるため解析的な枠組みの導出が可能であるが,用いるデータをいかにして生成するかが鍵となる.理想としては、すべての考えうるスピン配列の状態でエネルギー計算をすればよいが計算量が膨大になり現実的ではない.この問題に対し,MCMC法を利用することで効率的にデータを生成する方法を提案した.また,マルチヒストグラム法を活用することで、本来全状態探索により得られる分布の類似度が高くなるように修正することも成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していたMCMC法のモデル選択への応用については、おおむね進展したのに加え、ベイズ比熱と呼ばれる新しい指標も提案でき、十分な成果がえられるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるが,先に述べるように次年度繰越を行っている.そのためその期間でこれまでの成果をとりまとめるのと同時に,実データへの活用などを進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
MCMC法の実装およびシミュレーションのための計算機資源のために計上していたが,現有の計算機環境で研究開発できたので、次年度に繰越を行った.
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次年度使用額の使用計画 |
成果とりまとめのための仕上げのためのシミュレーション実行のための計算機やソフトウェア構築に計上するとともに,成果発表のための旅費や学会参加費、論文投稿費に計上する。
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