研究課題/領域番号 |
25330290
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
高坂 拓司 大分大学, 工学部, 准教授 (80320034)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 衝突振動系 / 拘束 / 安定性 / 分岐 / カオス |
研究実績の概要 |
「研究実施計画」に基づき、以下の研究を行った。 1. 拘束を有する系に対する安定性解析手法の検討:前年度の結果をふまえ、手法を拡張することでm周期解にも適用可能な安定性解析手法を確立した。一方、より容易な安定性解析を可能にするため、モノドロミ行列を用いた安定性解析手法に関しても基礎的な検討を行った。
2. 1. のバウンシングボールモデルへの適用:拘束を伴う衝突振動系の最も簡素な例であるバウンシングボールモデルに提案手法を適用し、コンピュータ実装により確認した。その結果、拘束を有する解軌道はその特性乗数がゼロとなることがわかった。つまり、拘束を伴う周期軌道は超安定であることを示した。
3. 境界の形状変化が拘束を伴う衝突振動系に与える影響の基礎的検討:境界の形状変化が衝突振動系にどのような影響を与えるのか、の検討を開始した。申請者の所有する加振機は境界の周波数もしくは振幅のみを変化させることが困難であるため、電気回路系においてバウンシングボールモデルを模擬した実験環境を構築した。また、分岐現象を容易に観測しやすいよう、実験およびシミュレーションにおいて、状態平面、Poincare写像およびワンパラメータ分岐図を作成し、正しい実験環境が構築できていることを示した。現段階では、境界の形状が正弦波とノコギリ波においてのみ若干の比較検討を行っているにすぎないが、拘束を伴う安定な周期解が安定化作用を失う要因にとくに変化がみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の研究目的に記述した「研究期間内に明らかにすること」は下記である。(1)安定解析手法の検討 (2) 拘束により安定化作用が失われる要因の検討 (3) 境界の形状の違いが解軌道の拘束と安定化作用に及ぼす影響 (1) については手法を確立した。(3)に関しても前記したように、実験環境の構築および若干の検討は終了している。(2)に関してはバウンシングボールモデルを用い分岐条件の数値計算を進めており、検討可能であると予想している。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度を念頭に、今後は以下を推進する: 1. 拘束を伴う衝突振動系にみられる周期解が不安定化する、つまり分岐現象の発生要因を調べ、分岐点の計算方法を実装する。 2. 1. の実験系およびシミュレーションによる再現 3. 境界の形状が拘束を伴う系に与える影響の更なる調査
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