研究課題/領域番号 |
25330291
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
安田 恵一郎 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (30220148)
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研究分担者 |
相吉 英太郎 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90137985)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 最適化 / メタヒューリスティクス / 近接最適性原理 / 連続型最適化 / 離散型最適化 / アルゴリズム |
研究概要 |
本研究は,最適化手法の基本構造に立脚して,メタヒューリスティクスの汎用解析・設計論を構築し,この成果に基づいて新たな連続・離散型メタヒューリスティクスの開発と性能評価を行うことを目的としている。今年度の主要な研究実績の概要は,以下の通りである。 (1) 近接最適性原理に立脚し,探索履歴情報の時間的・空間的広がり,探索履歴情報の変換・活用戦略,及び探索点間の相互作用と生成される探索のダイナミクスの観点から,主要なメタヒューリスティクスを系統的に解析し,最適化手法としての構造的特徴を明らかにした。 具体的には,代表的な組み合わせ最適化問題である,ナップサック問題,巡回セールスマン問題,スケジューリング問題,割り当て問題を対象とし,評価値の優れた解同士の類似性,局所的最適解同士の類似性,および局所的最適と大域的最適との類似性を,個別の問題ごとに定義した距離に基づいて詳細に評価した。 (2) 上記の構造的解析を踏まえた,アナロジーに基づかないメタヒューリスティクス汎用設計論の構築を行い,高い汎用性と優れた探索性能を有する新たな連続型・離散型メタヒューリスティクスの開発にために基礎的検討を行った。 具体的には,局所的最適解を個々の解を括る「引き込み領域の代表解」と位置づけ,局所的最適解が構成する新たな解空間を定義した。さらに,この新たな解空間を探索する戦略を基本とし,評価値情報と距離情報に基づく相互作用を付加した多点型最適化手法を構築し,数値実験によりその有用性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,研究代表者と研究分担者が持つ連続及び離散型メタヒューリスティクスに関するこれまでの研究成果や知見を有機的に連携・活用することで,メタヒューリスティクスの汎用解析・設計論の構築に関する基礎的検討を,ほぼ順調に進めることができている。さらに,この成果を踏まえることで,次年度以降の研究計画についてもほぼ順調に進めることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に検討したメタヒューリスティクスの汎用解析・設計論に基づき,探索点間の相互作用,探索履歴情報の時空間的広がり,探索履歴情報の変換・活用戦略,探索過程の多様化・集中化機能の観点から,新たな連続型・離散型メタヒューリスティクスの開発を行い,ベンチマーク問題を用いた性能評価を行う。 (1) 離散型メタヒューリスティクスの開発と性能評価(担当:安田) 離散空間における距離を用いた多点探索型Tabu Searchの成果を踏まえ,最良解情報の活用,多様化・集中化の評価,及び近傍生成・移動戦略のフィードバック制御機構を新たに導入した連続型メタヒューリスティクスを開発し,性能を検証する。 (2) 連続型メタヒューリスティクスの開発と性能評価(担当:相吉) 多体結合系のダイナミクスを用いた連続型メタヒューリスティクスの成果を踏まえ,最良解情報の活用,多様化・集中化の評価,及び近傍生成・移動戦略のフィードバック制御機構を新たに導入した連続型メタヒューリスティクスを開発し,性能を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
投稿した論文等の掲載が,査読のプロセスの関係で次年度になるなど,計上した予算の一部の執行が次年度になったため,研究費の一部を次年度に繰り越した。 次年度に掲載される論文の掲載料,国際会議参加費・出張費など,主に研究成果の公表に伴う支出に充てる。
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