研究実績の概要 |
・Tsallisエントロピー最大化法を用いたファジイc平均法における最大の問題の一つであるq値の決定方法に取り組んだ。具体的には温度の減少とq値の増加が帰属度関数に及ぼす影響を評価し,関数形状を等しく変化させるための両者の定量的関係を求めた.この結果に基づき,アニーリング実行時に,同時に定量的関係を維持しながらq値を増やしてデータ分布に一致させる手法を提案してその有効性を確認した. ・エントロピー最大化に基づくファジイc平均法の構成要素を,エントロピー関数・制約条件・アニーリング法・冷却関数に分類した.次に,Shannonエントロピーとファジイエントロピー最大化を優先的に取り上げ,これらに基づくファジイc平均法の帰属度関数のクラスター中心遠方での温度依存性について調べ,それぞれが適するデータ分布について,実データを用いて検討した. ・配電ネットワーク最適化問題の解法として,不良な近傍解を適切に削減するために,区間負荷の値を用いて解の類似度を定義した.次に,シ ミュレーティッドアニーリングあるいはタブー サーチの探索の段階に応じて探索可能な解の類似度を変化させていく戦略を導入して探索の効率化を図った.さらに,フィーダの根元の負荷バランスを確保することにより,初期解の段階である程度の最適化を行って計算時間の削減を図り,シミュレーションにより有効性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・Tsallisエントリピー最大化法を適用したファジイc平均法に関して,帰属度関数に及ぼす温度の減少とq値の増加の効果について詳細に調べ,両者の定量的関係を明らかにした.次に,アニーリングを行いながら,同時に定量的関係を維持しながらq値を増加させるクラスタリング手法を提案し,実験によりその効果を確認した.本研究については,q値をアニーリングと同時に最適化する手法の開発が残されている. ・エントロピー関数・制約条件・アニーリング法・冷却関数を組み合わせたファジイc平均法の特徴分析については,まだ検証すべき組み合わせが残されており,今後の課題である.
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