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2013 年度 実施状況報告書

観測像の相関構造を自動抽出して個体別に連続アトラクタとして獲得する連想記憶モデル

研究課題

研究課題/領域番号 25330298
研究種目

基盤研究(C)

研究機関大分工業高等専門学校

研究代表者

木本 智幸  大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (30259973)

研究分担者 上江洌 達也  奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (10160160)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードHopfieldeモデル / 連想記憶 / 連続アトラクタ / XYスピン / 外部入力 / 状態遷移
研究概要

同一人物を様々な方向から観測すると、各方位から見た複数の画像が得られるが、これらを個別に記憶することは自然な情報表現ではないと思われる。観測像は同じ物体の画像であり、観測方位が違うだけで、相互に関連があるためである。しかし、Isingスピンで構成されるHopfield型の連想記憶モデルに複数の観測画像を記憶した場合は、各記憶パターンが個別の点アトラクタとなって保存される。
本年度は、連想記憶モデルをXYスピン系に拡張して記憶パターンを学習させた場合について、獲得されるアトラクタ構造を詳細に調べた。解析は、まず統計力学によって理論的に調べ、計算機シミュレーションで理論の妥当性を検証した。その結果、記憶パターンが点アトラクタとなって獲得されるのではなく、各記憶パターンをつなぐ連続アトラクタが現れることが分かった。連続アトラクタとなるためには、XYスピン系に拡張するだけでなく、記憶パターンが、0とπの2状態で構成されているか、0、π/2、π、3π/2の4状態で構成されているかのいずれかの条件が必要であることも分かった。また、これらの記憶パターンにガウス雑音を入れた場合でも、ある程度の分散のノイズであれば、連続アトラクタが維持されることを計算機シミュレーションで明らかにした。記憶パターンが2、4状態以外を取る場合は、記憶パターンは点アトラクタとなるが、記憶パターン間には未学習状態に比べて自由エネルギーの小さい状態が線状に存在することが分かった。2、4状態で現れる連続アトラクタの痕跡がそれ以外の場合でも存在するのである。そのため、未学習パターンを外部入力するよりも、記憶パターンを外部入力する方が、小さい外部入力でその状態に遷移させられることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

XYスピン系で連続アトラクタが現れる条件について、基本的な条件を探ることができ、査読付きの学術論文で発表することができたため。また、より解析が複雑な位相振動子系に拡張した場合の連続アトラクタの性質についても、解析を始めることもできており、連続アトラクタが現れるメカニズムの検証を進められているため。

今後の研究の推進方策

本年度は、連続アトラクタの解構造を、記憶するパターンの数が2,3,4,5について調べた。これらは記憶率α(=p/N)=0の状態である。pは記憶パターン数、N(=∞)は素子の数である。記憶パターンは、α=0.03まで安定であることが先行研究で知られている。記憶率α>0である場合、連続アトラクタの構造がどのように変化するか解析が必要である。また、記憶パターン間に相関構造が入った場合も連続アトラクタが存在するのか調べる必要がある。記憶パターンが3つの時は、相関が入っても、連続アトラクタが存在することが分かっている。記憶パターン数が4以上になった場合に解構造がどのように変化するか調べる必要がある。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Continuous attractor that appears with auto-associative memory model extended to XY spin system2013

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Kimoto, Tatsuya Uezu, Masato Okada
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 82 ページ: 124002-1~8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analysis of a solvable model of a phase oscillator network on a circle with infinite-range Mexican-hat-type interaction2013

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Uezu, Tomoyuki Kimoto, Masato Okada
    • 雑誌名

      Physical Review E

      巻: 88 ページ: 032918-1~20

    • 査読あり
  • [学会発表] 連想記憶型相互作用を有する位相振動子系の周期解と対応する古典XYモデルの連続解の関係

    • 著者名/発表者名
      田尻華奈、清川修二、木本智幸、岡田真人、上江洌達也
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      東海大学(神奈川県平塚市)
  • [学会発表] 連想記憶型相互作用を有する古典XYモデルの連続解の導出とその安定性解析

    • 著者名/発表者名
      吉田梨紗、木本智幸、岡田真、上江洌達也
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      東海大学(神奈川県平塚市)
  • [学会発表] 同一の相互作用を有する位相振動子系と古典XYモデルの解の対応

    • 著者名/発表者名
      上江洌達也、清川修二、木本智幸、岡田真人
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      東海大学(神奈川県平塚市)
  • [学会発表] 学習則に構造を持つXYスピンで構成された連想記憶モデルの安定解解析

    • 著者名/発表者名
      木本智幸、上江洌達也、岡田真人
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      東海大学(神奈川県平塚市)
  • [学会発表] 位相振動子系と古典XYモデルの対応関係について

    • 著者名/発表者名
      上江洌達也、木本智幸、岡田真人
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      徳島大学(徳島県徳島市)
  • [学会発表] Correspondence between Oscillator Network and Classical XY Model

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Uezu, Tomoyuki Kimoto, Masato Okada
    • 学会等名
      25'th IUPAP International Conference on Statistical Physics
    • 発表場所
      Seoul National University(大韓民国)

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公開日: 2015-05-28  

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