昨年度までに考案した「時間逆転シミュレーション法」をLorentz96モデルに実装し,提案手法が高次元力学系のレアイベントサンプリングに対しても有効であることを示した.また,離散化した確率微分方程式について数値実験を行い,手法全体の定式化の再検討も行った.これらの結果をまとめた欧文論文を作成中である. このほか,逐次モンテカルロ法において行われている「経路を表現する粒子を分裂・消去する」方法を時間逆転シミュレーション法に組み込む実験を行ったが,十分な効果を確認することができなかった.このため,別のアプローチとして,逆ダイナミクスの部分の近似精度を上げる手法を実装し,検討中である. レアイベントサンプリングについての情報を収集し,開発した手法について議論を行うため,海外の研究者(Luca Maraglian氏)を招へいしてワークショップ rare event sampling and related topics IIIを開催した.これはこのテーマでの国際ワークショップとしては3回目である.
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