本研究は、適応行動における「予測精度の推定」の役割に着目し、神経回路モデルとロボットを用いた実験による検証を行った。予測精度の推定が最適なレベルにあると、ロボットは実験者の動作に協調して、状況の変化に応じて行動を切り替えることができた。一方、予測精度の推定が過大(不確実性を過大評価)でも過小(不確実性を過小評価)でも、繰り返し行動や動作の停止などの異常行動が観察された。これらの結果は、状況に応じた適切な行動の切り替えに、予測精度の推定が重要な役割をしていることを示し、予測精度の推定プロセスの失調という観点が、精神疾患・発達障害の知覚・行動異常の病態理解にも貢献することが期待できる。
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