研究課題/領域番号 |
25330302
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人水産大学校 |
研究代表者 |
中村 誠 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 教授 (40399639)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 品質推定 / ファジィ / 鮮魚 / 鑑別 |
研究概要 |
1.生産者が出荷から加工に至るまでの鮮魚の品質を素早く把握し,管理することを目的として,マダイ,イサキ,ウマヅラハギを試料として魚体体表の色彩が魚肉鮮度K値に対応するか,また体表の色彩からK値を推定する2種類のモデル(重回帰モデル,ファジィ推論モデル)を作成して精度と適応性について基礎的な検討を加えた。その結果,体表の色彩とK値は対応すること,また色彩を変数とするファジィ推論モデルが同じ変数で構成する重回帰モデルより高精度となり,適応性に優れることを確認した。 2.イトヨリダイを試料として生産者の品質管理を支援する一連のモデル(魚市場の競り人による鮮魚の外観評価モデル,出荷前の魚体の色彩からK値を推定するモデル,出荷後のK値の変化を予測するモデル)を検討した。魚市場の競り人による鮮魚の外観評価は魚体の4個の色彩を組み合わせたファジィ推論モデルにより高い精度で表現できること,出荷前の鮮魚のK値は第1項と同様に魚体の色彩を変数とするモデルで表現できることを確認した。また,出荷後のK値はゴンベルツ曲線など2種類の数理モデルで精度良く予測できることを明らかとした。 3.食用とされるフグ肉の流通における健全性を確保する目的として,天然トラフグ,養殖トラフグ及びマフグの身欠きを試料として,肉眼鑑定の是非とその精度について検討した。身欠き処理後の1時間から72時間経過時の身欠きで,天然トラフグと養殖トラフグの鑑別のために体表の3箇所の色彩が有用となること,また,その他の種の間の鑑定でも5箇所の色彩が肉眼鑑定に貢献することを確認した。これらの色彩を変数として判別分析を行い,ふぐ肉の鑑定のモデル化について基礎的検討を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.マダイ,イサキ,ウマヅラハギ等の色相の異なる鮮魚を対象として,各々7個から12個程度の体表の色彩を組み合わせることにより,高い精度で魚肉鮮度を推定できることを確認することができた。 2.イトヨリダイを例として,生産者の鮮魚の品質管理を支援する3種類のモデルを設計して有用性を確認したことにより,生産者を支援する方向性を示せた。 3.食用とするフグ肉で流通量の多いトラフグ(天然,養殖)とマフグの身欠きを対象として,これら3種を肉眼鑑定が可能であること,即ち鑑別に有用な色彩を組み合わせてモデル化することにより,「食材偽装」等の問題へも対応できる可能性を示した。 以上により,本研究は「おおむね順調に進展している」ものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1.即殺処理後からの経過時間が管理可能なマダイ,イサキ,ウマヅラハギについては試料数を増やして体表の色彩によりK値を推定するモデルを強化する。一般的な魚市場ので扱われる死後の履歴を正確に把握できないアカアマダイ,シロサバフグ等にも体表の色彩によりK値を推定することの可否を検討し,有用な場合にはモデルを図る。 2.本研究で扱う魚種(マダイ,イサキ,アカアマダイ,シロサバフグ等)についても対象を広げて,各魚種について生産者の品質管理を支援するモデルを設計する。 3.天然トラフグ,養殖トラフグ,マフグの身欠きの試料数を増やして鑑定モデルを強化すると共に,他の流通量の多い魚種ヒガンフグ,ショウサイフグ,シロサバフグ及びカラスの身欠きに対象を広げてデータを採取して鑑別モデルの汎用性と有用性を高める。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費が当初見込額より安価となったため。 学会参加等で適性に使用する。
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