1.生産者が出荷から加工に至るまでの鮮魚の品質を素早く把握し,管理することを目的として,ブリ属3魚種(ブリ,カンパチ,ヒラマサ)を試料として魚体体表の色彩が魚肉鮮度K値に対応するかを検討すると共に,体表の色彩からK値を推定する2種類のモデル(重回帰モデル,ファジィ推論モデル)を作成して精度と有用性について考察した。その結果,体表の色彩とK値は対応すること,また色彩を変数とするファジィ推論モデルが同じ変数で構成する重回帰モデルより高精度となり,K値推定に優れていることを確認した。 2.食用とされるフグ肉の流通における安全性と健全性を確保する目的として,フグ類(天然トラフグ,養殖トラフグ,マフグ,ヒガンフグ,ショウサイフグ,シロサバフグ)の身欠きを試料として,種の肉眼鑑定の可否とその精度について検討した。冷蔵温度が-2℃,+2℃,+6℃の下,身欠き処理後の1時間から72時間経過時の身欠きの総ての2種間の比較で,最低でも体表の3箇所以上で色彩の違いが確認され,色彩による肉眼鑑別は可能であることが明らかとなった。これらの色彩を変数とした鑑別モデルでは,2種間鑑別で89.9%以上が,また全種一括鑑別でも89.3%の高い的中率を得た。よって,これらのモデルを組み合わせてシステムを運用することで,フグ肉の流通における種の検査への有用性が示唆された。
|