研究課題/領域番号 |
25330305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小林 祐一 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60373304)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 移動ロボット / 環境認識 / 画像特徴 / 不整地走行 |
研究概要 |
動作指令用PC,加速度センサおよびCCDカメラを搭載した移動車両による実機実験システムの構成を行った.大学キャンパス内の環境(屋内,屋外両方を含む)や人工的に作成した環境を準備し,50種類程度の路面における走行実験を行った.走行実験においては,一つの路面について10回程度一定時間走行させ,その走行時間中に得られる加速センサ値の時系列情報を取得した. 加速度センサ情報については,加速度の最大値と最小値の差分を特徴量とする方法と時系列情報を周波数情報に変換する方法とを比較・検討し,最大値と最小値の差分を利用する方法を選択する.また,走行させた路面について,その路面を撮影した画像から視覚特徴を抽出するための方法に関する基礎的検討を行った.路面の画像を透視変換により奥行き方向の影響を除去した形に直し,特徴量を算出する.特徴量の算出方法として,周波数領域への変換の後にスペクトル情報を周波数に応じて分割・平均しベクトル化する方法,および局所的な多数のフィルタをかけた上でフィルタの応答を平均化したベクトルを生成する方法の2種類を実装し,加速度センサによる特徴情報との相関をとった. まず準備実験として,人工的に作成した不整地路面において,上記の加速度特徴と周波数スペクトルによる画像特徴との間に一定の相関が存在することを確認できた.一方で,屋外における種々の路面での加速度-画像特徴間の相関を十分に得ることはできなかった.この原因の一つとして,人工的な路面では,タイルの幾何学的模様など画像特徴と走行時の揺動に必ずしも直接的な相関がないことが考えられる.人工的な路面を除いた石・瓦礫・木などからなる自然物を含んだ不整地において,フィルタ応答を用いたベクトルにもとづいた加速度特徴との相関抽出に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
センサを搭載した移動ロボットのハードウェア環境の準備,その移動ロボットを用いたデータ収集実験,データ収集に基づく基本的な相関抽出の検討と評価など,初年度に目標としてあげていた主要な事項について達成している.視覚的な特徴と運動情報の特徴の間に相関が存在することを確認できていること,人工的な環境と実際の大学キャンパス内の様々な条件で収集した路面環境の両方で評価を行うことができた. 全体の研究目標である様々な障害の画像による識別という観点からは,今年度にあげた成果は均一を前提とした路面環境を対象としているため,今後個別に局所的な変化を含んだ地形を対象として広げることが必要と考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
初年度は均一な路面における走行時の揺動の全体的な挙動に着目し,揺動と画像特徴の間に相関が存在することを確認することができた.今後の研究対象の一つとして,路面の不均一な場合に注目し,段差乗り越え時などに発生する瞬間的な揺動の計測および画像からの推測を行うことを目標とする.具体的には,直線状の障害物(段差,棒状物体など)の存在する環境下での走行実験を行い,走行時に得られる速度変化や加速度情報からその障害物の走りにくさ(の指標)と画像特徴の間の相関を解析する.障害物の向き,段差の高低差を表す視覚特徴量を検討し,その特徴量と車両運動特性に関する特徴量の間の相関を調べることで,どのような障害物をどのような向きから走る場合にどのような走行特性が得られるか,予測できることを目標とする. 上記と並行して,移動ロボットのナビゲーションに関する基礎的な実装を進めることで移動車両の自律走行の実験準備を行う.LRFなど他の種類のセンサで明らかに障害物と判別できる物体が存在する場合に,その障害物を回避する経路生成およびその経理を追従する走行を行えるようにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費のうち,移動ロボットに搭載する障害物検知用のセンサについては,実装の優先順位を下げたために未実装である. 障害物検知用のセンサを追加で実装するための費用を次年度使用予定として計画している.
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