(1)ロボティックスワームを構成する各自律ロボットの制御器である人工神経回路網を進化的に設計するために,次のように2種類の計算機環境を設定して,それぞれに研究を推進した.(A)クラウドコンピューティング環境:オープンソースの物理エンジンが使用可能なため,物体とロボットまたはロボットどうしの衝突判定を大量に含む課題を取り扱うことができるので,協調採餌問題や追跡問題のような自律タスク割り当て問題を含んだような高度に協調分散的な群れ行動生成を試みた.(B)GPUコンピューティング環境では,計算アルゴリズムに条件分岐の少ないように衝突判定が不必要な掃除問題など取り扱い,GPUへの効果的実装を検討した.(2)集合知の解析・評価方式の開発では,スワームロボティクス分野において,この未踏な領域へ最初の一歩を踏み入れてきたが,さらにこれを前進させることができた.特に,サブグループの同定や推移の取り扱い手法に一定の指針を出すことができた.(3)実機ロボットに搭載していたミニPCの性能が4倍となったアップデート版が入手可能になったので,これを導入して各ロボットの動作サイクルタイムを高速化して,より滑らかなロボティックスワームの群れ行動が生成できるようにした.また,進化ロボティクスのサセックス・アプローチを採用し,計算機シミュレーションで現れる群れ行動を実機ロボティクスワームで再現する実験を行い,集合知の進化的構成法の基礎を確立できた.
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