人を見守り安心・安全・QoL 向上へとつなげるためには,まず人を理解して個々の人の特性を把握し,個人の持つ特性を生かすことが重要となる.そこで,我々が着目しているのがユーザモデルと機能デザインである.個々のユーザの特性に合わせたシステムを構築することは可能であろう,しかし,人の特性や状態は日々変化するものであり,一人の人間から得られるデータのみでは,適切なサービスを提供し続けることは難しい.そこで,ネットワークコミュニティの概念に基づいて,ユーザモデルを構築することによって,類似するユーザグループからフィードバックを受けることが可能となる.さらに,ユーザモデルに合わせて機能をデザインすることによって,人に合わせたサービス提供が可能となり,過信や不信を取り除く,安心支援へとつながる. 平成27年度は移動ロボットの操縦熟練度に合わせた支援内容を提供するためにユーザモデルを利用し,初心者には複数回にわけて警告やアシストを行うのに対し,熟練者には緊急停止などの支援に重点をおくシステムを構築した.また,ハンドル操作だけでなくスマートフォンのアプリから操縦できるインタフェースを構築し,握力が衰えた人などでも操作可能なよう配慮した. これらの実証実験として2015年11月14日に八王子南陽台地区においてトレーラーハウス・ロボット展示を実施した.避難所生活における廃用症候群を防ぐための,健康維持を目的として開発した身体動作を使ったゲームの体験や,避難所へ移動する際の移動支援を行う移動支援モビリティロボットの展示・体験を実施した.ゲームや体験をグループで行うことでコミュニケーションが生まれる様子がみられ,防災・共助コミュニティの有効性を示すことができた.集会場 (代用のトレーラーハウス) に,ユーザが足を運ぶことで,日常の活性化と災害時のコミュニティ形成の両方へ貢献できることが示された.
|