研究課題/領域番号 |
25330315
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
工藤 康生 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90360966)
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研究分担者 |
村井 哲也 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (90201805)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 関係性マイニング / ラフ集合 / 感性情報処理 |
研究実績の概要 |
ラフ集合による関係性マイニング手法の更なる発展に向けて,平成26年度は主に,関係性マイニングの理論面の拡張に関する研究を行った.具体的には,1.関係性マイニングにおいて関係性を調査するべき属性および属性値間の二項関係の選択方法に関する検討,および2.関係性マイニングの理論モデルの拡張を行った.また,3.関係性マイニングに係る縮約計算の並列化および高速化の検討も行った. 1.関係性マイニングにおいて関係性を調査するべき属性および属性値間の二項関係の選択方法に関する検討:関係性マイニングは2つの属性における属性値の比較に基づくデータ分析手法であるため,関係性を考慮すべき属性および用いる二項関係の選択は非常に重要なポイントである.そのため,属性を確率変数とみなしその相互情報量を用いることによる属性の組の選択方法や,縮約の評価指標を援用して二項関係を選択する手法を検討した.また,有用ではない属性の組を検出するための理論的性質を検討した. 2.関係性マイニングの理論モデルの拡張:属性値間の二項関係による値の比較を,対象間の二項関係による比較(対象間の同値関係や支配関係など)に対応づける数理的な枠組みを検討した. 3.関係性マイニングに係る縮約計算の並列化および高速化の検討:関係性マイニングでは属性間の関係性を新たな属性として表現するため,属性の個数が膨大になる.また,対象数の多いデータに対して,関係性マイニングを直接行うことは困難である.これらの問題を踏まえ,著者らが以前提案した属性数の多いデータに対する縮約抽出手法と,縮約計算の統計的アプローチとを併用し,さらに処理を並列化することによる,縮約計算の高速化について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関係性マイニングの要点となる,関係性を調査するべき属性および属性値間の二項関係の選択方法について,および関係性マイニングの実用面で必須となる,規模の大きいデータに対する縮約計算の並列化と高速化について検討しているため(学会発表参照),理論面の整備および関係性マイニングの要素プログラムの作成,関係性マイニングによる分析システムの作成について,おおむね順調に進んでいる.また,分析システムの評価の一環として,関係性マイニングによる分析結果を援用したレコメンデーションシステムについて検討を始めている.以上より,本申請の現在までの達成度は,おおむね順調であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究申請は次年度が最終年度であるため,これまでの研究発表の内容を踏まえ,関係性マイニングに関する理論的性質に関する論文,および分析システムを用いた関係性マイニングの応用に関する論文を準備中である.並行して,分析システム自体の評価を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は,本年度の研究成果に基づく関係性マイニングの理論面に関する論文の準備が,次年度までずれ込んだため生じたものである.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費は,研究打ち合わせおよび国内外の会議での成果発表旅費,投稿論文の英文校正など(謝金),学会参加費および論文投稿・掲載料,論文別刷(その他)に使用する予定である.
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