研究課題/領域番号 |
25330316
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
石川 智治 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90343186)
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研究分担者 |
宮武 恵子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (40390124)
阿山 みよし 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30251078)
佐々木 和也 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (60292570)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 外観評価語 / 触感評価語 / 画像製作・撮影方法 / 布地の透過率 / 撮影距離(倍率) / 布地ドレープ / 回転運動 / ギャザ倍率(分量) |
研究実績の概要 |
平成26年度は,平成25年度の成果に基づき,下記[I]及び[II](a)-(d)を明らかにし,それらを外部発表した(学協会誌論文1件:採録決定,図書1件,特許出願1件,査読付き国際会議3件,招待講演2件,国内発表7件[日本感性工学会等]) [I] まず,平成25年度の成果である「布地の質感(外観・触感)評価語」と,「KES(Kawabata Evaluation System)の風合い評価用語」及び「ファッション業界の経験的評価用語(素材軸:ファッション感性クラスタ)」との関係を検討した結果,それらが相互に深く関係することを明らかにした[学協会誌論文][査読付き国際会議]. [II] 次に,布地の質感評価語に注目した画像製作方法(a)-(d)を検討した.具体的には,(a)布地の“薄さ”・“厚さ”について,それらの評価と輝度特性との心理物理学的関係を明らかにし,透過率に注目した画像撮影方法[特許出願]を開発した.(b)布地の“粗さ”・“滑らかさ”について,それらの評価と物理特性(空間周波数、コントラスト等)との心理物理学的関係を明らかにし,撮影距離(倍率)に注目した画像撮影方法を開発した.(c)布地の“はりのある”・“柔らかい”について,それらの評価と布地ドレープの動き(回転運動の速度変化等)との心理物理学的関係を明らかにし[査読付き国際会議],布地の回転運動の変化に注目した画像撮影方法を開発した.(d)布地の“ドライ”・“ウェット”について,それらの評価と布地のギャザ倍率変化との心理物理学的関係を明らかにし,布地のギャザ分量によるドレープ変化に注目した画像撮影方法を開発した.これらは,本年度の研究目的である“新しい呈示画像コンテンツの製作”に関する方法であり,最終目的の“新しい画像呈示方法の検討”に直接的に関連する成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は,デザイン画および被服の感性評価や同定実験を予定していた.しかし,平成25年度に明らかにした布地の質感評価語(外観評価語および触感評価語)と,布地の風合い評価用語,およびファッションにおける素材軸用語との関係を分析した結果,相互に深く関連することが明らかになった.そこで,本研究の最終目的である“新しい画像呈示方法の検討”を直接的に推し進めるためには,布地の質感評価語に注目した画像製作方法を主体的に検討するべきであるという考えに至り,その実験研究を実施した.その結果,布地の“薄さ”・“厚さ”,“薄さ”・“厚さ”,“はりのある”・“柔らかい”,“ドライ”・“ウェット”のそれぞれの評価に関わる物理特性を明らかにし,それらに注目した画像製作・撮影方法を開発することができた.したがって,当初の予定とは異なるアプローチとはなったが,逆に最終目的に対しては当初の予定以上の進展となっているので,全体的な研究の達成度としては,おおむね順調に進展していると結論付けた.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,平成25・26年度の成果を踏まえて,下記を実施して研究目的の達成を目指す. [I] 布地の各質感評価語(a)-(d)の感性評価とそれに関連する物理特性との関係を「感覚の違い(視覚,視触覚)」や「被験者による相違(被服系,工学系など)」に注目して実験を実施する.具体的な心理物理的関係は,(a)“薄さ”・“厚さ”―輝度特性など,(b)“薄さ”・“厚さ”―空間周波数,コントラストなど,“はりのある”・“柔らかい”―回転速度・回転数など,(d)“ドライ”・“ウェット”―ギャザ倍率,ドレープ形状など,である. [II] その後,上記(I)の結果を比較検討し,「感覚の違い」および「被験者の違い」による布地質感評価に適応させるための物理的な特徴量を明らかにし,各被験者に適応した画像呈示方法を検討する. [III] 更に,上記の成果を踏まえて,オンラインショップを想定した総合的な画像呈示方法や呈示情報(文字や触振動などの追加)を検討し,被服の触感や外観情報の判断を可能にするオンラインショップの実現を目指す.
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