開発した据置型ドライビングシミュレータ装置を用いて,筋運動特性は姿勢と筋活動レベルに応じて変化することに基づいて,自動車操縦インタフェースの操作時における筋運動感覚特性の詳細な測定・解析と有用性を検証した. 具体的には,両腕によるステアリング操舵では両手先力を同時計測し,操舵条件による知覚量への影響を解析した.その結果,能動的な操舵時と受動的な操舵時では,操舵反力の知覚量が異なる傾向にあることが示された.そして,その傾向はステアリングを引く手(手先力は大)とは逆の手(手先力は小)で発揮する力成分と関係があることがわかった. 一方,下肢によるペダル操作では,踵を付けた状態で膝関節角度と反力負荷レンジを変化させて実施した.その結果,ペダル反力負荷の知覚量は,膝関節角度が大きく変わっても変化は観られず,下肢の筋運動特性の特徴とは異なるものとなった.また,反力負荷レンジが小さくなると,知覚量は足首角度の影響を受け易くなる傾向となり,ステアリング操舵時の左右手先力の大きさによる影響と類似となった.このことから,人間の筋運動感覚特性は,筋骨格系の緊張が高い状態(高剛性)においては姿勢による影響は小さいと考える. そしてさらに,ペダル操作時の下肢姿勢と反力負荷レンジを入力としてペダル反力負荷の知覚量を推定する数理モデルを構築するとともに,ペダル反力制御システムに組込むことで操縦性の改善が期待できることを確認した.
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