研究課題/領域番号 |
25330322
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
佐伯 徹郎 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (40249595)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スピーチプライバシー / アクティブサウンドマスキングシステム / 情報漏えい防止 / 個人情報保護 / 心理評価 |
研究概要 |
本研究は、大掛かりな防音工事を必要とせずに現状のままのオープンスペースにおいて、無意味ノイズで会話音声をマスクすることによって、音声やノイズの様々な到来方向といった複雑な空間音響条件を考慮した上で、情報漏えいの防止や個人情報の保護などのスピーチプライバシーを確保する、サウンドマスキングシステムを構築しようとするものである。 国内外を問わず、病院の診察室での診療や受付窓口での問診、薬局窓口での説明、オープンプランオフィスでの打合せ、税務署窓口などの公的機関での相談、学校での学習進路相談、などオープンスペースでのスピーチプライバシー保護が重要視されてきている。 これまで、スピーチプライバシー評価に対応する物理指標として、我々の提案したスペクトル距離、信号対雑音比(SN比)を拡張した概念に基づく明瞭度指数AI、SIIなどが用いられてきたが、これらの物理指標を用いて音声やノイズの様々な到来方向といった複雑な空間音響条件でのスピーチプライバシーをコントロールすることは困難であることが明らかとなった。複雑な空間音響条件でのスピーチプライバシーを保護するための新たな最適な物理指標を見出す必要がある。 また、個人情報保護に注目が集まってから、複雑な空間音響条件のため従来困難であったオープンスペースでのスピーチプライバシー保護の設計要求が生じてきているのが現状である。 以上のような観点から、本研究では、情報漏えい防止や個人情報保護に着目して、音源の様々な到来方向といった複雑な空間音響条件を考慮したスピーチプライバシーを確保するサウンドマスキングシステムを構築することを目的としている。 平成25年度では、音声とノイズの到来方向とスピーチプライバシー評価との関係がどのようになるかについて、心理実験をもとに調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的としていた音声とノイズの到来方向とスピーチプライバシー評価との関係がどのようになるかについて、心理実験をもとに調査できた。
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今後の研究の推進方策 |
スピーチプライバシーの最適な物理指標の確立を行う。 具体的には、複雑な空間音響条件においてスピーチプライバシーを保護するために最適な物理指標を見出す。スピーチプライバシーをよりコントロールしやすくなるよう、我々の提案するスペクトル距離や従来スピーチプライバシーの指標として用いられている信号対雑音比(SN比)、AI、SIIなどの様々な物理指標をもとに、音声やノイズの様々な到来方向を加味して複雑な空間音響条件における物理指標の再構成を行い、心理実験をもとに考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進展に伴い、マスキング雑音として擬似音声雑音を用いることが想定外に効果が低かったといった、当初予想し得なかった新たな知見が得られたことから、その知見を使用し十分な研究成果を得るために、当初の研究計画を変更する必要が生じたことにより、その調整に予想外の日数を要したため年度内に完了することが困難となった。 マスキング効果の高い擬似音声雑音を開発し、ノイズ発生装置を作成する。
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