研究課題/領域番号 |
25330325
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 和人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (80390904)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 表情空間チャート / 表出テンポ / 表出リズム / 意図的表情 / 心理的ストレス / 機械学習 / ベイジアンネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究目的は,人の情動変化に伴う顔表情と他指標(生体検査や心理検査)の関係性を解明し,顔表情の時系列変化から人間の心理的内部状態を推定する技術を確立することである.平成28年度は,以下の課題について研究を実施した.
・心理的ストレス検知モデルの構築と実装評価 ストレスチェックの測定内容(抑うつ・不安,不機嫌・怒り,無気力の3因子)の得点,隠れマルコフモデルの状態数を最適化して得られる表情の表出テンポと表情のリズムの尤度を基に,ベイジアンネットワークを用いて男性モデル,女性モデル,及び全体モデルの3種類のストレス検知モデルを構築した.また,各ストレス検知モデルの妥当性を評価するために,検知モデルのアルゴリズムを組み込んだプロトタイプシステムを試作し,アルゴリズムの洗練化を実施した.更に,快・不快の情動喚起ビデオを用いて,一過性ストレス刺激に対するNIRSによる脳の賦活状態と注視行動の因果関係を分析し,慢性的ストレスに対する一過性ストレス刺激の相乗効果を定量化することにより,メンタルヘルスの可視化に向けた可能性を探求した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
快・不快の情動喚起ビデオを用いて,一過性ストレス刺激に対する脳の賦活状態と注視行動の因果関係を分析した結果,以下の点が明らかとなった.
・快ビデオ視聴時では,画面を「注視する行動」が多く発生し,かつ脳が賦活し易い被験者は,快ビデオに対する主観評価が高い ・一方,不快ビデオ視聴時では,画面から「視線をそらす行動」が多く発生し,かつ脳が賦活し易い被験者は,不快ビデオに対する主観評価が高い ・ストレス検知モデルの結果,「不機嫌・怒り度」に高い傾向が認められる被験者は,不快ビデオ視聴時に「視線をそらす行動」が多く発生し,かつ脳が賦活し易い
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,以下の課題について追加実験を実施する.
・快・不快ビデオ視聴時の表情と視線を融合した評価実験 顔領域(顔全体,顔上部,顔下部)が刻むリズムの相互情報量から表情変化の「自然さ」と「不自然さ」を識別し,かつサッケードによる「注視回数」と「視線をそらす回数」を融合することによりメンタルヘルスの可視化に向けた可能性を探る.
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次年度使用額が生じた理由 |
ストレス検知モデルの精度向上と気軽にメンタルヘルスを自己チェックできるように,モデル改良のための追加実験が必要となった.
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次年度使用額の使用計画 |
モデル改良のための追加実験を研究補助者に依頼すると共に,国際会議で研究成果を発表する.
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